研究課題/領域番号 |
22K15340
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
八木 健太 徳島大学, 病院, 特任助教 (10869085)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 慢性骨髄性白血病 / 分子標的治療薬 / ALDH |
研究開始時の研究の概要 |
慢性骨髄性白血病(CML)の根治には、標準治療薬であるBcr-Abl阻害剤に加えて異なる作用機序の薬剤が必要であると考えられている。申請者はこれまでの研究から、ALDHがCMLの再発に重要な役割を持つCML幹細胞の生存に寄与する可能性を見出した。そこで、治療のキードラッグであるBcr-Abl阻害剤とシナジー作用を持つ薬剤について、臨床応用を目標に研究を進める。
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研究実績の概要 |
慢性骨髄性白血病(CML)は分子標的治療薬Imatinibの登場により治療成績が劇的に向上した。しかし、体内から白血病細胞が消失した患者においても休薬により60%の患者で白血病細胞に分化するCML幹細胞が増殖し再発をきたす。CML幹細胞はCML完治の最大の障害であり、完治には幹細胞の根絶が必要不可欠であるが、有効な治療法は確立しておらず、現状では一生涯の薬物治療を余儀なくされている。とくに、AYA世代など若年患者においては投与期間が非常に長期に及ぶ患者も多く存在している。長期投与による様々な副作用発症のリスクのみならず、経済的な観点からも根治薬の開発が切望されている。 本研究の目的は、ALDHがCML幹細胞における細胞生存に必要な因子であり、ALDH阻害剤がCML幹細胞の根絶に有用であることを明らかにすることである。 研究代表者が注目している作用点であるALDHは様々な併用薬により発現が変動するが、薬剤以外にも食生活や生活習慣などALDHを変動させる因子が存在する可能性がある。 研究代表者は医療ビッグデータを用いて、CMLの治療効果に影響を及ぼす生活習慣として飲酒歴を見出した(投稿中)。そこで、ALDHの発現に影響を与える生活習慣や併用薬を抽出し、それらが治療効果に与える影響についても網羅的な探索を進めている。 ALDHは、Bcr-Abl阻害薬に対する耐性を獲得した細胞に対してもALDH阻害は有効性を示す可能性がある。そこで、Bcr-Abl阻害剤に耐性のあるCML細胞株を樹立し、薬物耐性を獲得したCMLに対する効果についても検討を進めている。また昨年、新規機序のアロステリックなBcr-Abl阻害剤であるAsciminibが上市した。Asciminibは従来のBcr-Abl阻害剤と作用機序が異なる事から、従来のBcr-Abl阻害剤やALDHとの関連性についても併せて検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではリアルワールドデータを用いた解析と基礎研究による検証を用いた多面的なアプローチにより、ドラッグリポジショニングに向けた有用な治療を探索している。 リアルワールドデータの解析についてはBcr-Abl阻害剤の治療とALDHを誘導する生活習慣である飲酒習慣との関連について明らかとし、その解析結果を論文投稿中であり、概ね順調に進捗していると考える。細胞実験では薬剤耐性細胞の作成や、標的分子の発現に応じた細胞の分取も概ね完了しており、作成した薬剤耐性細胞については、その耐性の原因についても概ね探索を完了した。また昨年、新規Bcr-Abl阻害剤であるAsciminibについても、従来のBcr-Abl阻害剤やALDHとの関連性についても併せて検討を進めている。それらの研究は順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度には、RNAseqにより網羅的な遺伝子発現を調査した。今後はそこで得られた遺伝子発現のデータ解析を進め、Bcr-Abl阻害剤およびALDHに関連する遺伝子の解析を進める予定である。また、CML幹細胞および薬剤耐性細胞に対する有効性についても引き続き検討を進めていく予定である。また、それらの詳細なメカニズムやサブタイプ解析についても更なる検討を進めていく。 昨年度までに実施した候補薬剤の作用点に影響を与える薬剤以外の因子についても網羅的な解析を進め、更なる因子の関与を明らかとする予定である。
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