研究課題/領域番号 |
22K15343
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
近藤 勝弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00939770)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 腫瘍崩壊症候群 / 多施設診療データ解析 / 固形腫瘍 / リスク因子 / 発症予測モデル |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍崩壊症候群(TLS)は、抗がん剤治療によってがん細胞が崩壊し、細胞内物質が血中に大量放出され発生する代謝異常である。急性腎障害などを来し死亡に至ることがあるため、治療前のリスク評価が重要とされている。 胃がんや大腸がんなど「固形がん」はTLS発症の低リスクに分類されている。しかし近年、腫瘍縮小(崩壊)作用に優れた様々な新規抗がん剤が治療導入されているためTLS発症リスクの上昇が考えられるが、実態は不明である。 本研究では、多施設診療データ8,000例超を解析し、固形がんでのTLS発症率と発症リスク因子を明らかにする。さらに、TLS発症予測モデルを構築し前向き臨床試験によって有用性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、抗がん剤治療を受けた固形がん患者における腫瘍崩壊症候群(Tumor lysis syndrome, TLS)を主題としている。名古屋市立大学病院における過去13年間(2007年~2019年)の診療データを解析し得られた知見(先行パイロット研究)をもとに、関連施設である同学医学部附属東部医療センターおよび西部医療センターを含む合計3施設の共同研究に規模を拡大し、8,000例超を用いた大規模な診療データ解析を行う。 当研究の目的は、①過去15年間超におけるTLS発症率とその年推移、がん種ごとの発症率の違い、および抗がん剤治療との関連性評価、②TLS発症に係るリスク因子の解析、③TLS発症予測モデルの構築と当モデルの実臨床での有用性評価、である。研究期間は3年間を計画しており、1~2年目で①および②を、3年目で③までを行う予定である。 1年目の令和4年度においては、最初に共同研究機関(東部医療センター、西部医療センター)2施設の倫理審査委員会へ研究の実施を申請し、承認を得た。次に、先行パイロット研究から期間を延長して診療データを抽出する、また共同研究機関2施設に拡大して診療データを抽出するのに際し、まず先行パイロット研究の解析手法の見直しを行った。その結果、新たに追加が必要なデータ抽出項目、および解析上の改善すべき課題が見出されたため、共同研究者と対応を協議した。特に、近年増加傾向にある内服の抗悪性腫瘍剤での治療に関する解析方法は当研究の課題であると考えられ、先行パイロット研究での診療データを用いて再度検討を深めた結果、当領域の解析方法に関する方針を確立するに至った。 現在、これを受けて、2007年~2023年の17年間を対象に研究実施機関3施設での診療データ抽出および解析の完了を目指し、研究協力者等と連携しつつ研究を進行させている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究は、先行実施した単施設(名古屋市立大学病院)での探索的研究(先行パイロット研究)をもとに計画を立案している。当研究では、名古屋市立大学病院に共同研究機関2施設を新たに加えて研究規模を拡大しつつも、先行パイロット研究で実践した解析手法を用いることで速やかに研究を進行させるよう計画していた。しかし、現在までの進捗は、主に次の3つの理由により当初の計画よりやや遅れている。 一つ目の理由には、各施設の倫理審査委員会で研究実施の承認を得るのに想定以上の時間を要したことがあげられる。まず、既に承認を得ていた研究実施主施設である名古屋市立大学病院において、単施設研究から多施設共同研究への変更を申請し承認を得た。その後、共同研究機関2施設において新たに研究実施の承認を得たが、倫理審査委員会の事務局担当者と密に協議をしつつも、申請から承認までに合計5ヶ月近くを必要とした。二つ目の理由として、診療データの抽出および解析に関して、新たに追加が必要な抽出項目、および解析上の改善すべき課題が見出されたことがあげられる。特に、近年増加傾向にある内服の抗悪性腫瘍剤での治療に関する解析方法は当研究の課題であると考えられ、共同研究者と協議した結果、データ抽出を行う前に解決すべきであると考えられた。そこで、先行パイロット研究の際の診療データを用いて再度検討を深め、当領域の解析方法に関して新たに方針を確立するに至った。 これらに2つに時間を要したことに加え、三つ目の理由として、申請者自身の異動があった(令和5年4月1日付で、名古屋市立大学病院より同学医学部附属東部医療センターへ異動)。異動に際して令和4年度終盤に研究時間の確保が困難な時期があったが、現在は研究環境を再構築し研究時間を確保可能な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(令和4年度)の取り組みによって、本研究における診療データの抽出および解析方法の見直しは完了しており、既に診療データの抽出に向けて各研究実施機関の共同研究者ならびにシステム担当者との協議を進行させている。また、診療データの抽出が完了するまでの間に、申請者の指示のもとデータ入力・整理・解析を行い、研究を推進させるための研究補助者の雇用を計画どおり行う予定であり、対象者のリクルートを進めているところである。さらには、研究をより一層推進するため、研究協力者と密に連携しこれまで以上に継続的に協議を行っている。 これらの方策に基づいて今後の研究を推進させることによって、進捗の挽回は十分に可能であり当初の計画どおり研究を遂行できるものと考えている。すなわち、現状では進捗がやや遅れているものの、①過去15年間超におけるTLS発症率とその年推移、がん種ごとの発症率の違い、および抗がん剤治療との関連性評価、②TLS発症に係るリスク因子の解析を、当初の計画どおり2年目となる令和5年度中に完了させる予定である。
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