研究課題/領域番号 |
22K15346
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
前田 実花 北里大学, 薬学部, 講師 (00776148)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | アセトアミノフェン / アダプテーション / 薬物性肝障害 |
研究開始時の研究の概要 |
アセトアミノフェンは、解熱鎮痛を目的に広く用いられているが、中毒性肝障害を引き起こす薬物としてもよく知られ、時に重篤な肝障害に進展する例がある。その一方、肝障害マーカーであるALT値の軽度な上昇をみるのみで肝障害所見はなく投与中に自然に値が回復する肝アダプテーションと知られる現象をみる例がある。しかし、この個体差を何が規定しているのかは明らかにされていない。本研究は、実臨床おけるアセトアミノフェン使用患者の肝アダプテーションの発生実態調査と発生規定因子を電子カルテ由来の実臨床データを用い解析し、アセトアミノフェン誘発性肝障害発症の感受性の個体差の機序の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、アセトアミノフェン誘発性肝障害の重症化を肝アダプテーションの能力が規定するという仮説のもと、実臨床におけるアセトアミノフェン使用患者の肝アダプテーションの発生実態と発生規定因子を電子カルテ由来の実臨床データを用い解析し、アセトアミノフェン誘発性肝障害発症の感受性の個体差の機序の解明を目指すことを目的とする。 初年度には、大規模でかつ多様な背景をもつアセトアミノフェン使用患者集団を包含し、かつ本研究に必要となる電子カルテ由来の経時的な検査情報を含む医療情報データベースとして一般社団法人 健康・医療・教育情報評価推進機構(HCEI)が構築したRWDデータベースを選択し、必要となる倫理審査手続きと利用申請を行い、データを入手した。 2年目となる本年度は、受領データの内容を精査、薬物性肝障害の有識者、臨床専門家、生物統計家と共同し、前年の検討内容を基に対象集団、曝露、共変量、アウトカムの定義に用いるデータ項目(患者基本情報、病名情報、医薬品情報、検査情報、診療行為情報等)およびアルゴリズムの詳細を定め、各定義のコードリスト、デザインダイアグラム、解析対象集団(コホート)を特定するフローチャート(データベースから対象集団、解析用集団を特定するまでの流れ)を作成した。また、本内容を基に研究用一次データセットおよび二次データセット(解析用データセット:1. 患者背景集計用データセット、2. 肝アダプテーションの発生調査用データセット、3. グルクロン酸抱合能とALT値変動の関連の検討用データセット、4. CYP2E1活性増加に関連する病態とALT値変動の関連の検討用データセット)の設定条件を決定した。規定した設定条件に従い、研究用一次データセットを作成、また研究用一次データセットの加工および結合により、研究用二次データセットを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の遂行には、実臨床における経時的な臨床検査データを有する大規模医療情報データベースから研究仮説に応じたデータ基盤整備が必要とされた。薬物性肝障害の有識者、臨床専門家、生物統計家との共同により対象集団、曝露、共変量、アウトカムの定義に用いるデータ項目およびアルゴリズムの詳細を特定、規定した各定義のコードリスト、デザインダイアグラム、解析対象集団(コホート)を特定するフローチャートを作成し、それに基づき、研究用一次データセットおよび二次データセット(解析用データセット)を作成することができた。そのため、現在までの進捗は「おおむね順調に進行している」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
作成された一次データセット及び二次データセット(解析用データセット)を用い、順次、研究計画書で定めた次の解析を進める。1. 血清ALT値の変動パターンの調査(肝アダプテーションの発生調査)、2. グルクロン酸抱合能とALT値変動の関連の検討(グルクロン酸抱合能の指標にはアセトアミノフェン投与前の総ビリルビン値を使用)、3. CYP2E1活性増加に関連するとされる病態(非アルコール性脂肪肝、糖尿病)とALT値変動の関連の検討 上記以外の因子についても網羅的な解析を実施し、アセトアミノフェン誘発性肝障害発症の感受性の個体差の規定因子の解明を試みる。
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