研究実績の概要 |
本研究は、中枢移行に関与する複数の薬物トランスポーターの寄与を考慮することで、現状の中枢移行性予測モデルの予測精度を向上させ、さらに予測モデルのヒトデータへの外挿性を検証することを目的としている。そのために①大規模かつ質の高いデータ収集、②AIを用いた中枢移行性予測モデルの構築、③ラット中枢移行性予測精度の検証、④ヒトデータへの外挿性の検証を実施する。 今年度は主に①について取り組み、BCRP, MRP4, OATPなどP-gp以外のトランスポーターの輸送能データ(ラット及びヒト)、fu,p(ラット及びヒト)及びfu,brain(ラットを中心とした動物実験データ)データ、Kp,brain及びKp,uu,brain(ラット及びヒト)などのデータを網羅的に収集した。BCRP, MRP4, OATPに関しては、阻害データと基質データが混在していたことから、されなるキュレーションの必要性が示唆された。fu,pに関しては公共データより最新の差分データを収集した。fu,brain, Kp,brain, Kp,uu,brainに関しては、これまでに収集したデータとの差分データ数は想定より少ないことが明らかとなった。このことから、今後は様々なデータベースを用いた検索を行いデータの拡充を試みる必要性が示唆された。並行して、学会に参加するなどして薬物動態に関する情報収集を実施した。今回の予測モデルの組み合わせで予測するパラメータの場合、それぞれの予測モデルの精度検証及び全体の精度検証が非常に重要で、適応範囲を示す手法を検討していくこととした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、データ収集及びキュレーション作業を行う。また、BCRP, MRP4, OATPのトランスポーターの輸送能を予測するモデルをAI(主に機械学 習)を用いて構築し、予測精度の検証を実施する。さらに、予測結果をラットKp,uu,brainの予測モデルに中枢移結果の組み込みを試みる。予測精度はWatanabe et al, J Med Chem, 2021のモデルと精度比較する。
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