研究課題/領域番号 |
22K15354
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠原 朋子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (40806957)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 腎臓 / ヒトiPS細胞 / 老化 / 発生 / エンハンサー / トランスクリプトミクス / iPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
胚発生は、「発生エンハンサー」を中心とした転写ネットワークによりダイナミックに制御されている。ヒト胚を研究に用いることは倫理的・技術的に難しく、腎臓の発生機序はまだ詳しく分かっていない。転写ネットワークは、発生段階の細胞種に極めて特異的である。ゆえに、ヒトの腎発生を理解するには、腎の発生過程における転写ネットワークを明らかにする必要がある。本研究では、ヒトiPS細胞のオリジナル分化誘導技術と独自オミクス技術を駆使して、ヒト腎の「発生エンハンサー」を同定する。これにより腎発生の転写ネットワークを解明し、発生機序を詳しく理解する。本研究は、ヒトの先天性奇形の発症メカニズムの解明に貢献できる。
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研究成果の概要 |
ヒト iPS 細胞から腎臓の発生過程を忠実に再現し、トランスクリプトミクス時計を用いて各発生段階の生物学的年齢を測定した。その結果中間中胚葉期に生物学的年齢が最小となる点が存在することを発見した。また主成分分析により発生過程が加齢とは異なる2つの過程から構成されていること、初期化関連遺伝子と加齢関連遺伝子の関与が示唆された。さらに腎発生過程では若返りが起こり、ROS、TNF、p53経路が関与していることが明らかになった。本研究はヒト腎臓の老化の始まりとメカニズムを解明し新たな抗老化戦略の開発に繋がる可能性を示した。本研究の知見は発生と老化の関係性の理解を深め、健康長寿の実現に向けた基盤となる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ヒト腎臓の発生過程における生物学的年齢の変化と若返りのメカニズムを世界で初めて明らかにした点で学術的に意義深い。加齢に伴う腎機能低下は高齢者の QOL を大きく損なう要因であり、本研究で得られた知見は腎臓の老化メカニズムの理解に貢献し、革新的な抗老化治療法の開発に繋がることが期待される。さらに、他の臓器の発生過程における老化の始まりやメカニズムの解明にも応用可能であり、超高齢社会における健康長寿の実現に向けた重要な一歩となり得る。
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