研究課題/領域番号 |
22K15357
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
久住 聡 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (00758039)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ゴルジ体 / 分裂期 / 走査電子顕微鏡 / 連続切片SEM法 / オスミウム浸軟法 / 光電子相関顕微鏡法 / ゴルジ装置 / 分裂期動態 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞分裂時のゴルジ装置動態は、主に蛍光観察によって解析されてきたが、電子顕微鏡(電顕)レベルの三次元構造解析は未だ不十分である。そこで本研究では、申請者らが開発した先端的な3Dイメージング技法により、in vitro環境におけるゴルジ装置の分裂期分配様式を三次元形態学的に再検討し、その機能構造的意義を明らかにする。具体的には、HeLa細胞とHEK293細胞に対し、走査電顕(SEM)オスミウム浸軟法と連続切片SEM法による包括的3D微細形態解析を行い、さらに光電子相関顕微鏡法(CLEM法)を駆使することで、分裂期に見られるゴルジ装置のダイナミクスをゴルジ関連分子の局在と結び付けて詳細に解明する。
|
研究実績の概要 |
本年度の研究では、間期と分裂期の培養細胞(HeLa細胞とExpi293T細胞)について、主に走査電子顕微鏡(SEM)を用いたゴルジ体の3D形態解析を行った。この際、固定した細胞を引き剥がして低融点アガロースに包埋することで、同一時期に培養した試料を連続切片法とオスミウム浸軟法の双方で解析可能とすることに成功した。 ①連続超薄切片SEM立体再構築法(連続切片SEM法)による解析:連続切片SEM法では、ゴルジ体が細胞内でどのような全体形状を呈しているか三次元的に示すことが可能である。この手法を用いて間期と分裂期の培養細胞を観察したところ、間期ではゴルジ体がまとまった大きな構造物を形成しているのに対し、分裂期の初期では既にその構造を崩して細かく分かれていることが明らかになった。しかしながら、分裂期のゴルジ体を形態のみで判別するのは難しく、より正確な解析には光電子相関顕微鏡法(CLEM法)や免疫電顕法と組み合わせる必要があることも判明した。 ②オスミウム浸軟法による解析:連続切片SEM法で得られた結果をもとに、分裂期における培養細胞ゴルジ体の3D微細形態を解析するため、隣接する凍結準超薄切片とオスミウム浸軟像の対比観察法を培養細胞に応用した。低融点アガロースに包埋した培養細胞では、この手法を生体内組織と同様に用いることが可能であった。その結果、分裂期に入った細胞のゴルジ体が、ごく初期から横方向の繋がりを途切れさせ、ミニスタックとして細かく分かれている様子が観察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、分裂期における培養細胞のゴルジ体動態について、先端的な3Dイメージング技法を駆使して、その形態的特徴と機能的意義を明らかにすることを目的としている。2022年度では、同一試料を連続切片SEM法とオスミウム浸軟法の両者で解析する手法について確立し、実際に分裂期におけるゴルジ体動態を3D解析した。具体的には、①連続切片SEM法による分裂期ゴルジ体の全体形状イメージング、②オスミウム浸軟法による分裂期ゴルジ体の微細形態イメージング、について順調に解析を進めている。一方、分裂期にゴルジ体が細かく分離することから、CLEM法や免疫電顕法などを組み合わせた解析の必要性も明らかとなった。2022年度では、オスミウム浸軟法について隣接切片との対比法を培養細胞に応用することに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
ゴルジ体の分裂動態について形態的、機能的に明らかにするため、これまでのSEM技法とCLEM法や免疫電顕法を組み合わせた手法の開発が急務である。本研究では特に、①樹脂包埋前にマーキングし、切片作製後も蛍光観察可能となるような蛍光プローブを用いたCLEM法(in resin CLEM法)と連続切片SEM法を組み合わせた新たな3D CLEM法、②オスミウムブラック法を応用した3D免疫電顕法、について開発を進めていく予定である。①のin resin CLEM法については、蛍光プローブとしてAlexa Fluor 594とFluolid、蛍光タンパクとしてmWasabiとmCherryを、②のオスミウムブラック法については従来の免疫染色法に加え、近接依存性標識法の応用を検討する。 ここで開発した手法を用い、分裂期のゴルジ体をより正確に3D解析するとともに、その分裂期ダイナミクスのメカニズムについても詳細に検討を進めていく予定である。
|