研究課題/領域番号 |
22K15364
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
堀井 和広 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70910090)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 聴覚 / 内耳蝸牛 / 音響外傷 |
研究開始時の研究の概要 |
強大音による音響外傷は、一過性に重度の難聴が引き起こされた後、回復期を経て最終的に不可逆性の難聴が残存する疾患である。この不可逆性は、内耳蝸牛に備わる聴覚の一次受容細胞である有毛細胞が傷害されることが原因と考えられている。一方、回復期のメカニズムについては詳細な検討がなされていない。本研究では、蝸牛の生体電池として有毛細胞機能に不可欠な電圧を供給する「血管条」に着目する。血管条を介した蝸牛内の特殊なイオン輸送を再現した数理モデルによる動態予測と、in vivoでの2連管微小ガラスイオン電極法による血管条内のK+濃度、電位動態測定を組み合わせることで、音響外傷の回復期の状態を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は「音響外傷時と回復期における血管条内K+濃度・電位変化の計算科学的予測と電気生理学的実測を組み合わせ、K+循環機構全体への影響を解明する」ことである。当初の研究実施計画では2年目に音響外傷直後の血管条・内リンパ液のK+濃度・電位測定に取り組む予定であった。当該年度の研究実績として、イオン電極でのK+濃度は未達成であるものの、可聴域上限を超えた非可聴域超音波刺激によって惹起される蝸牛マイクロフォン電位(Cochlear microphonic: CM)の計測に成功した。この超音波CMの発見は従来報告されていない新規知見である。さらに、音響外傷モデルマウスを作成し難聴を呈することを確認したとともに、加齢性難聴モデルマウスの作成にも取り組んだ。その結果、加齢性難聴モデルマウスにおいて可聴域難聴時に超音波聴力が悪化していることを突き止めた。これらの知見は内耳蝸牛が可聴域を超える非可聴域の超音波まで受容できる可能性を示唆するものであり、非常に新規性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに超音波CMの計測に成功するとともに、加齢性難聴モデルマウスにおいて可聴域難聴時に超音波聴力が悪化していることを突き止めてきた。加齢性難聴モデルマウスの作成には長期期間を要するため、すでに音響外傷マウスの作成も進んでいる。これらの研究実績は今後の実験を遂行する上で大きな進捗であるといえる。超音波CMは新規知見であるため、この研究業績を基盤に難聴モデルマウスを対象として実験を遂行していくことで、超音波聴力に着目した新規聴覚検査方法の開発や、従来未解明であった難聴病態の解明、さらに新規治療戦略の提案に寄与できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については、2年目の研究業績で得られた超音波CMを基盤に実験を遂行していく予定である。まずは音響外傷モデルマウスを対象に可聴域聴力と超音波聴力の関係性を解析していく。さらに超音波CMについても音響外傷モデルマウスにおける変化を解析する。また並行して加齢性難聴モデルマウスの超音波聴力の測定の詳細を検討していく予定である。これらの音響外傷モデルや加齢性難聴モデルでの超音波聴力や、超音波CMと可聴域聴力との関係性を比較する。また薬剤性難聴モデルなども作成を検討し、様々な難聴モデルでの動態を比較検討する予定である。
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