研究課題/領域番号 |
22K15365
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
渡邊 将 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90806457)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 小脳 / プロテインキナーゼC / アルドラーゼC / カルシウム依存性カリウムチャネル / 樹状突起 / BKチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
成熟小脳プルキンエ細胞 (PC) において、リン酸化酵素γ型プロテインキナーゼC (PKCγ) がCa依存性Kチャネルの1種である BKチャネルの抑制を介して、樹状突起の性質を調整し、最終的にPCの発火(複雑スパイク)を調節するという仮説に至った。本研究では、成熟期のPC特異的にPKCγが欠損したマウスを解析し、発達期と区別して成熟小脳のPKCγの生理機能に迫る。1)PKCγが登上線維由来のシナプス伝達を制御しうるか 2) その結果、複雑スパイクを制御しうるか 3)BKチャネルを介して複雑スパイクを制御しているのかを検討し、仮説を証明する。
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研究実績の概要 |
リン酸化酵素であるγ型プロテインキナーゼC (PKCγ) は脳内でも特に小脳、中でもプルキンエ細胞に多く発現する。PKCγの変異で脊髄小脳変性症14型が発症することを考えても、重要な生理機能を果たすと考えられていた。しかし、成熟プルキンエ細胞でPKCγがどのような機能を果たしているのかは不明であった。 これを明らかにするために、本研究では、成熟プルキンエ細胞でのみPKCγが欠損したマウス (cKOマウス) と野生型マウスで電気生理学的解析を行った。プルキンエ細胞の細胞体で記録をしたところ、第I-III小葉では野生型マウスと比べて、cKOマウスで発火が起こりやすくなっていた。一方で、第IX-X小葉では、野生型マウスとcKOマウスで同程度の発火しか見られなかった。第I-III小葉と第IX-X小葉では、それぞれ遺伝子発現のパターンが異なることが知られており、PKCγの上流の分子であるホスホリパーゼCβ (PLCβ)や1型代謝型グルタミン酸受容体 (mGluR1)のサブタイプの発現も異なる。これらは、小脳内の矢状断方向で、シマウマ様の発現パターンをしており、ゼブリンという分子の発現パターンとおおむね一致している。そのため、ゼブリン陽性 (小脳虫部だと、小葉IX-Xのプルキンエ細胞はほとんどゼブリン陽性) 、陰性 (小葉I-IIIの殆どは陰性)のプルキンエ細胞で、PKCγの機能が異なるのではないかと考えた。 そこで、ゼブリン陰性のプルキンエ細胞でのみGFPを発現するマウスとPKCγ-cKOマウスを掛け合わせることで、ゼブリン陽性・陰性のプルキンエ細胞にわけて記録した。同一の第IV-V小葉から記録したところ、やはりゼブリン陰性の細胞でのみ、cKOマウスで発火が増加してた。現状で、PKCγがゼブリン陰性のプルキンエ細胞でのみ発火を制御することが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジェノタイピングを依頼していたマウスの一部で、遺伝子型の伝達に誤りがあったことがわかり、1年目のものも含めて発火のデータを再解析・集計することになった。 その結果、cKOマウスのプルキンエ細胞で、むしろ発火が増加することと、SKチャネルを阻害しても発火が同程度にならないことが分かった。 このような経緯で、2年目はあまり順調ではなかった。 1年目で予定以上に研究が進んだ分とあわせて、申請当初の予定と同程度に落ち着いたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現状で、どのようなメカニズムで、PKCγがゼブリン陰性のプルキンエ細胞で発火を制御するのかは不明である。3年目にはこの点を明らかにしたい。
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