研究課題/領域番号 |
22K15372
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
粟生 智香 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 助教 (90880865)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 視床下部 / 細胞外小胞 / 好中球由来小胞 / 神経内分泌系 / 生体イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
細胞が分泌する小胞が、細胞間のメディエーターとして機能することが報告されている。近年好中球などの免疫細胞も小胞を分泌し、凝固作用や免疫制御機能があることが明らかになってきた。しかし生体内 において小胞がどこで分泌され、どの細胞に作用しどのような機能を持つのか、そして小胞の分泌がどのように制御されているのかは明らかにされていない。本研究では、生体イメージングの系を活用して、血管内で分泌される好中球由来小胞の性質を調べ、小胞を受容する細胞を同定し、その機能を検討し、重症感染症における好中球由来小胞の意義を統合的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
前年度までに、敗血症モデルにおいて、血管を流れる細胞外小胞を貪食する免疫細胞を同定していた。今年度は高精細全脳イメージング解析技術FASTによって、細胞外小胞を貪食した細胞が脳のどの領域に分布しているかを明らかにした。この分布は、抗原取り込みの実験で用いられるデキストランの分布とは異なっていた。またCD31を用いた血管の免疫染色によって、血管の周囲に存在することを見出した。また免疫細胞の脳への浸潤が抑制されたノックアウトマウスにおいて、テレメトリによる解析を行ったところ、心拍数、血圧、体温の推移と臓器障害マーカーに特徴があることを見出した。さらに、脳のcfosの免疫染色によって、一部の脳領域の活動が増加していることを明らかにした。内分泌にも影響がみられた。これらのことから、細胞外小胞の標的となった免疫細胞は、循環の維持を介して臓器障害を予防していることが示唆された。また、in vitroにおいて免疫細胞を精製し、細胞外小胞で刺激し、サイトカインなどを定量する実験において、脂質メディエーターの産生が低下することを見出した。現在、免疫細胞から神経細胞に情報を伝達する分子の同定を進めている。また、アデノ随伴ウイルスベクターとカルシウムイメージングの技術を用いて、免疫細胞が影響を与える神経活動の推移の解析系の立ち上げを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞外小胞の標的となる細胞が同定され、その細胞が循環動態に対してどのような機能を持つかも明らかにすることができ、分子の同定の準備まで進められているため。
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今後の研究の推進方策 |
単球から神経細胞に情報を伝達する分子の同定を進める。具体的には、ノックアウトマウスと野生型マウスの脳のプロテオーム解析、トランスクリプトーム解析、単離した免疫細胞の遺伝子発現解析を行い、候補分子を同定する。続いて、候補分子の阻害薬を脳に局所注入し、分子の機能を同定する。
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