研究課題/領域番号 |
22K15373
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
好岡 大輔 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00883084)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Mチャネル(KCNQ2/3) / PI(4,5)P2 / 1分子イメージング / 軸索起始部(AIS) / てんかん / 電位依存性カリウムチャネル / イノシトールリン脂質 / PIP2 / ケージドリジン / イオンチャネル / 脂質ラフト |
研究開始時の研究の概要 |
イオンチャネルは脂質膜に発現して機能するが、脂質は「場」を構成するだけではなく、チャネルの機能調節にも関与する。これまでに、細胞内シグナル伝達の中心的役割を果たすイノシトールリン脂質であるPIP2がKvチャネルをはじめとする数多くのチャネルやトランスポーターの機能を直接的に調節することが分かっており、そのPIP2作用部位は創薬のための重要なターゲットともなっている。そこで本研究では、PIP2によるチャネル制御について、活性制御と動態制御の両面から解析し、両者の相関関係を明らかにすること目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、PIP2によるチャネル制御について、活性制御と動態制御の両面から解析し、両者の相関関係を明らかにすること目指している。現時点までに以下の成果を得た。まずPIP2の結合能力を欠く変異型KCNQ3の細胞内局在を調査した。その結果、低PIP2親和性KCNQ3は野生型KCNQ3と同様にAISへと優先的に輸送されるものの、AIS領域での変異体の表面密度はチャネル活性依存的に有意に減少することが明らかとなった。また、1分子イメージングを用いた詳細な解析によりPIP2結合部位の変異がKCNQ3の側方拡散とエキソ・エンドサイトーシスの両方のプロセスに影響を与えることが判明した。以上の結果から、KCNQ3-PIP2相互作用がチャネルの活性だけでなく、そのトラフィッキング制御においても直接的な役割を果たすことが示された。さらに本研究では、高い時空間分解能でイオンチャネルとPIP2の相互作用を光学的に制御するための「ケージドリジンシステム」を確立した。この手法では、KCNQ3チャネルの既知のPIP2結合サイトであるK260をHCKに置換した。近紫外光の照射により、実際にKCNQ3が活性化されることを確認した。このチャネル活性の変化はHCKのアンケージにより、KCNQ3のPIP2親和性が回復したことに起因すると考えられる。以上の実験により、チャネルのPIP2親和性操作におけるケージドリジンシステムの適用性を実証することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は共焦点イメージングで解析した変異体の数が増え、1分子イメージングではエキソ・エンドサイトーシスまで含めてKCNQ3の3次元的な空間動態を解析することができた。特に、昨年度の難点であったケージドリジンシステムを確立でき、KCNQ3のPIP2親和性を近紫外光の照射により操作することに成功した。さらに、薬理学的手法を用いて細胞膜構造やチャネル活性を変化させた場合のチャネル動態変化に関する実験データも蓄積されつつある。以上より、本年度の研究進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、まずケージドリジンシステムをイオンチャネルの1分子イメージングと融合させ、Mチャネルの動態制御におけるPIP2の役割をより詳細に解析することを試みる。薬理学的実験によるデータ収集も完了させ、最終的にはこれまでの結果を集約した論文をまとめることを目指す。
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