研究課題/領域番号 |
22K15386
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 剛 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (70802817)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Cas12a / 欠失変異 / iPS細胞 / CRISPR-Cas12s / 欠失導入 / CRISPR-Cas12a / ゲノム編集 / 筋ジストロフィー |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、CRISPR-Cas12aが標的DNA配列の切断時に突出末端を形成させる点に着目し、突出配列が相補的となる2つの標的を選択することで、末端が結合される正確な欠失導入が可能であることを発見した。本研究では、Cas12aによる高い再現性と誘導効率をもつ欠失変異導入法の確立を目指して、レンチウイルスライブラリを利用した欠失導入のプロファイリングと、欠失導入率の向上のためのCas12aによる多重ゲノム編集を実施する。最終的に、本研究から得られた欠失導入条件をもとに、筋ジストロフィー患者由来iPS細胞での遺伝子治療への応用を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究は、CRISPR-Cas12aによる正確かつ効率的な欠失変異導入法の確立を目的とする。研究代表者は、Cas12aが標的DNA配列に5’突出末端を形成させる点に着目し、突出配列が相補的となる2つの標的を選択することで、末端の結合を誘導できる正確な欠失導入の可能性を見出した。さらに本研究では、突出末端の配列の組合せから、欠失後に生じる結合末端の配列が予測できることを示唆する結果を得ている。そこで、ランダムな突出配列の組み合わせを人工的に細胞内に作り出し、欠失後の結合末端配列を網羅的に解析することで、再現性が最も高い欠失導入条件を探索する。最終的に、筋ジストロフィー患者由来iPS細胞において、本技術の遺伝子治療への応用を試みるため、疾患モデルiPS細胞の骨格筋への分化誘導法の確立も実施する。 2023年度は、HEK293T細胞内に導入されたランダムな突出末端を持つ標的配列の組合せについて、その編集結果をHiseqを用いたアンプリコンシーケンスによって網羅的に解析した。得られたリードペアは約7億であり、4塩基突出同士の組合せ一つ一つに対するcoverage depthは約10,000に達していることから、組合せの検証に十分な量のリードを得ることができたと考えられた。編集結果の解析については、期待される2つの標的配列から生じた欠失変異は約10%で、現在はその結合部の配列について解析を進めている。さらに平行して、iPS細胞の骨格筋への分化誘導についても実験系の確立を進めた。分化誘導後、骨格筋の分化マーカーであるミオシン重鎖(MHC)ならびにジストロフィンについて免疫染色を行ったところ、非常に多くの細胞がMHC陽性であり、さらにいくつかの細胞でジストロフィンが発現していることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Hiseqによるアンプリコンシーケンスが完了し、突出末端の組合せについての検証が進んでいる。現在のところ、欠失後に生じる結合部の配列は、非常に多くのパターンが検出されているものの、やはり一部の配列に集中する傾向が認められており、より詳細な解析が進むことで、再現性のある突出末端の組合せを明らかにできることが期待される。また、iPS細胞の骨格筋への分化誘導系がほぼ確立されたことで、筋ジストロフィー症モデルiPS細胞を対象として、Cas12aによる欠失導入をテストするための道筋をつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、アンプリコンシーケンスにより得られた解析を完了することで、再現性のある突出配列を決定できると考えている。この突出配列の組合せについては、デジタルPCRを利用して正確性と再現性の定量を行うと共に、改変型のCas12aを使って編集活性を高めたまま、正確性などを維持できるかの検証を行う。また、筋ジストロフィー症のモデルiPS細胞においてCas12aによる欠失導入を行い、エキソンスキップが可能であるかをテストすることで、医療応用への可能性を探っていきたい。
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