研究課題/領域番号 |
22K15396
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
金森 耀平 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70838903)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 鉄代謝 / 肝臓 / 組織修復 / 肝炎 / 鉄 / 価数 |
研究開始時の研究の概要 |
肝炎と鉄代謝異常の関連性は古くから提唱されており、一般に肝臓における鉄の蓄積は肝炎の病態を悪化させると考えられている。一方、鉄は生体内において2価と3価の異なる形態をとり、同じ鉄過剰でも2価鉄過剰と3価鉄過剰では生命機能に及ぼす影響が全く異なることが知られている。しかしながら、2価/3価の鉄動態と肝炎との関係は十分に明らかになっていない。本研究では、鉄動態が肝炎における修復応答を調節するメカニズムを解明する。本研究成果は、肝炎の予防・治療法の開発にも貢献すると期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、肝細胞における鉄の価数動態が肝炎の進展に及ぼす意義を探索した。FBXL5欠損マウス(肝細胞に2価鉄が蓄積)において、肝炎を誘導すると、野生型に比べて肝線維化の進行が抑制された。一方、FBXL5, IRP2二重欠損マウス(3価鉄が蓄積)では、野生型と同程度の肝線維化が認められた。FBXL5欠損マウスでは、肝傷害、及び、活性化線維芽細胞の数やコラーゲンの遺伝子発現量は野生型と同程度である一方、マトリックスメタロプロテアーゼの発現量の増加が認められた。したがって、肝細胞における2価鉄は、コラーゲン分解系を促進することで、肝炎における線維化の進展を抑制する役割があると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝疾患と鉄代謝異常の関連性が古くから提唱されているものの、鉄が肝疾患の進展に果たす意義に関する共通見解は得られていない。鉄は生体内において2価と3価の状態を変化させることにより、生物学的に異なる機能を発揮するため、2価鉄の蓄積と3価鉄の蓄積とでは全く違う状況と言える。しかし、2価鉄/3価鉄の価数動態と肝疾患の進展との関係はほとんど明らかにされていない。鉄の総量に注目した過去の研究とは視点の異なる本研究は、肝疾患における鉄の意義に関する議論に新たな展開をもたらすと期待される。
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