研究課題/領域番号 |
22K15400
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
白川 裕貴 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助手 (10937907)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | IL-26 / 関節炎 / 関節リウマチ / 慢性炎症 / 抗体療法 / 自己免疫疾患 / 膠原病 |
研究開始時の研究の概要 |
関節リウマチは、生物学的製剤・JAK阻害剤などの登場により、寛解に至る患者数は増加傾向にあるが、無応答の患者、重篤な副作用が惹起される患者群が一定割合散見されており、未だ新規治療法の創出が望まれている。 IL-26は多様な慢性炎症疾患で発現増加が報告されている新規の炎症性サイトカインだが、マウスに欠損した遺伝子のため従来のマウスモデルでは見逃されていた重要な炎症因子である。申請者は独自に樹立したhIL-26Tgマウスにおいて関節リウマチ病態が悪化することを予備的実験により得た。 本研究では、IL-26に基づく関節リウマチ病態の更なる解明を目的とした研究により、新たな治療標的としての可能性を探る。
|
研究実績の概要 |
IL-26は近年、多様な慢性炎症疾患で発現増加が報告されている新規炎症性サイトカインだが、マウスには欠損した遺伝子であり、従来のマウス疾患モデルでは見逃されていたヒト炎症病態特有のKey因子である。研究代表者らはヒトIL-26がマウスの細胞にも作用することを確認し、in vivoでIL-26の機能解析を行うためにヒトIL-26トランスジェニック(hIL-26Tg)マウスを開発した。本研究ではhIL-26Tgマウスを用いて関節炎の発症や悪性化におけるIL-26の役割の明らかにすることを目的とする。 hIL-26Tgマウスの遺伝的背景はC57BL/6マウスだが、C57BL/6マウスでは、普遍的な関節炎モデルであるコラーゲン誘発性関節炎(CIA)モデルでの関節炎症状が弱いことが以前から報告されている。そこで、申請者は昨年度にコラーゲン抗体誘発性関節炎(CAIA)モデルを用いてhIL-26Tgマウスと対照マウスとの関節炎症状の違いを解析してきたが、このモデルでは主要なIL-26産生細胞であるCD4 T細胞の活性化が弱い問題があった。 そこで本年度はメチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)を用いた抗原誘発性関節炎(AIA)モデルを確立し、hIL-26Tgマウスでは関節内炎症性細胞浸潤と滑膜の肥厚、膝の軟骨損傷の亢進が認められることを明らかにした。現在、IL-26がどの細胞に作用し、いかなる遺伝子発現変化を引き起こすかについてもin vitroの実験を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
hIL-26Tgマウスを用いたAIAモデルを確立して、IL-26の関節炎病態における役割を解析している。mBSAとアジュバントを皮下に2回免疫した後、mBSAを膝関節内に注射して関節炎を誘発すると、hIL-26Tgマウスでは1日後から膝関節の肥厚が顕著であり、関節内の炎症性細胞浸潤が強く起こり、1週間後には滑膜肥厚と軟骨損傷が亢進している結果を得た。 膝関節のmRNA発現評価や血清中因子の多項目解析により、hIL-26Tgマウスで特に発現が増加している炎症性サイトカイン・ケモカインを見出しており、IL-26がどの細胞にいかなるメカニズムで作用しているのか検討を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
AIAモデルを確立し、hIL-26Tgマウスでは関節内炎症性細胞浸潤と滑膜の肥厚、膝の軟骨損傷の亢進が認められることを明らかにした。また、hIL-26Tgマウスの膝関節のmRNAや血清中で特に発現が増加している炎症性サイトカイン・ケモカインを見出した。現在、IL-26がどの細胞に作用し、いかなるメカニズムで作用しているのかin vitroの実験を進めている。 関節炎の発症や悪性化におけるIL-26の炎症増悪化作用の根幹となる現象を見出し、悪性関節リウマチや強直性脊椎炎などの難病の病態解明や新規治療法開発にも活用できる成果となることを期待する。
|