研究課題/領域番号 |
22K15417
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
西巻 はるな 日本大学, 医学部, 助手 (00834152)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 神経芽腫 / 自然退縮 / ガングリオシド / 免疫微小環境 / がん微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
小児神経芽腫群腫瘍は、治療抵抗性の難治症例と無治療で腫瘍が消失あるいは分化していく自然退縮群が存在する。過剰な治療は患児の成長・発達やQOLの低下につながる。どのような症例が自然退縮するのか、自然退縮予測因子はなにか、病理学的に明らかにすることは、小児の治療戦略において重要である。本研究は、病理組織を用いて腫瘍細胞の遺伝子や腫瘍の免疫微小環境と自然退縮の複合的な分子機構を明らかにする。令和四年度は、マイクロアレイ解析とTaqMan プローブを用いた定量RT-PCR法で腫瘍細胞の遺伝子の発現量を検証する。
|
研究実績の概要 |
小児神経芽腫群腫瘍は、無治療で腫瘍が消失あるいは分化していく自然退縮を呈する症例から、現在の集学的治療を行っても再発・難治を繰り返す症例まで様々である。また近年、免疫療法が導入された。小児神経芽腫で発現しているガングリオシドのGD2をマーカーとした抗GD2抗体のジヌツキシマブが昨年承認され、予後改善が期待されている。さらに国内外でワクチン療法や二重特異性抗体、CAR-T-細胞療法の開発が進んでいる。 治療方針決定には、国際神経芽腫リスクグループのリスク分類が採用されているが、治療継続の判断に難渋する症例も少なくない。患児の長期生存は可能となっているが、治療がもたらす晩期障害も軽減したく、不必要な治療を回避する指標が求められている。 本研究は、小児神経芽腫群腫瘍の病理組織(50例)を用いて、腫瘍細胞の遺伝子やGD2およびその前駆体であるGD3の発現の特徴と、腫瘍の免疫微小環境を明らかにし、自然退縮の複合的な分子機構を見出すことを目的としている。 具体的には、採取されたホルマリン固定パラフィン包埋組織を用いて①マイクロアレイ解析および定量RT-PCRによる遺伝子発現解析、②腫瘍組織に認められるリンパ球や組織球の性状や分布パターンを多重蛍光染色により解析し、免疫微小環境情報をデータ化、③ガングリオシドの共発現解析を行い、これらのデータと臨床経過との相互関係を明らかにする。 神経芽腫群腫瘍の免疫微小環境に関する報告はなく、それと自然退縮の機序との関連性を明らかにすることで、不必要な治療を軽減でき、患児の生活の質を大きく改善できると期待される。免疫微小環境のデータは、今後発展が予測される小児の免疫療法に貢献すると思われる。また、自然退縮は成人の腫瘍にもみられる現象であり、様々な腫瘍にも応用可能な発展性があり、本研究の臨床的意義は大きい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は遺伝子解析を行う予定だったが、研究者の妊娠・出産により、遺伝子解析の実験を後回しにし、令和5、 6年度に予定していた画像解析と臨床情報の抽出とデータベース化を先に行うこととした。そのため、全体的にやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度に行う予定だった遺伝子解析を令和5年度に実施する。小児神経芽腫は希少がんの一つであり、目標症例数も50例と少なく、令和5年度で十分実施可能と考えられる。画像解析と臨床情報の抽出は引き続き継続し、完成を目指す予定である。
|