研究課題/領域番号 |
22K15427
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
高柳 奈津子 (小野澤奈津子) 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (30791800)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | DLBCL / Double expressor / MYC / BCL2 / TCF4 / FISH / 悪性リンパ腫 / DEL |
研究開始時の研究の概要 |
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 (DLBCL) は,胚中心B細胞 (GCB) 型と活性化B細胞 (ABC) 型に分類される。細胞増殖に関与する転写因子の MYC と抗アポトーシス分子である BCL2 の蛋白質共発現を伴う DLBCL は double expressor lymphoma (DEL) と呼ばれ,予後不良と報告されている。GCB 型 DEL では,MYC, BCL2 の高発現は各々の遺伝子転座によるものとされているが,ABC 型 DEL における BCL2, MYC の発現機序は十分に解明されていない。本研究では,DEL, 特に ABC 型 DEL における MYC, BCL2 の発現機構を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) は,腫瘍細胞の発生母地 (COO) から胚中心B細胞 (GCB) 型と活性化B細胞 (ABC) 型に分類されている.一方,MYCとBCL2のタンパク質共発現を示すdouble expressor lymphoma (DEL) の概念も提唱され,DELの多くがABC型に属し予後不良群と認識されているが,DELの分子病理学的基盤については未だ不明な点が多い.18q21の増幅はABC型DLBCLで最も頻度の高いゲノム異常であると報告されており,その遺伝子座にはBCL2が位置し,さらにMYCの遺伝子発現を調節しうるTCF4も含まれている.18q21の増幅によってBCL2とTCF4の発現が共に亢進し,DELの分子基盤になっている可能性がある. 本研究では,免疫組織化学 (IHC) やFluorescence in situ hybridization (FISH) を用いて,MYC, BCL2, TCF4の発現の関係を遺伝子増幅の観点から解析している.当院のDLBCL症例から作製したTMA約300例に対し,BCL2, TCF4を含む免疫組織化学及びFISHを行った.BCL2-IHC陽性群のうち,GCB typeではBCL2 rearrangementを有する群が,non-GCB typeではBCL2 amplificationが主体をなしており,両者は概ね相互排他的に認められた.TCF4-IHCでは,陽性群と陰性群の二峰性パターンを示し,二峰性パターンはnon-GCB typeで顕著であった.TCF4-IHCとTCF4 FISHで評価した遺伝子増幅との間に相関を認めた.現在,次世代シーケンサーを用いてTCF4を含む網羅的遺伝子解析を施行中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
BCL2, TCF4のIHC, FISHの解析,予後解析は概ね終了している.現在,次世代シーケンサーを用いてTCF4を含む網羅的遺伝子解析を施行中である.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は順調に進捗している. 現在までに得られた IHC, FISH の結果と,施行中の網羅的遺伝子解析の結果を統合し,DEL の分子生物学的・臨床病理学的特徴を明らかにしたい.
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