配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、“微小炎症ネットワークの解明に資する全身全細胞解析技術の開発”である。これまで研究者らは炎症において重要な細胞・分子の同定に取り 組んできた。しかしながら技術的な限界により、慢性炎症性疾患の発端である微小炎症の時空間的多様性・遷移状態を理解することは依然として困難である。多種類の免疫細胞群によって惹起される微小炎症ネットワークの理解には分離された細胞を対象とする解析手法だけでは不十分であり、個体内の細胞の位置情報を保持した状態で細胞の機能情報を包括的に解析する手法が必要である。 本研究課題提案者は多細胞システムの解析基盤技術として組織透明化技術を用いた全細胞観察技術、マルチプレックスin situ ハイブリダイゼーション技術、マイクロエマルジョン技術を用いたオミクス解析に着目し研究を推進している。2023 年度は特に蛍光プローブの開発、マイクロエマルジョン技術を用いたオミクス解析に取り組み、金粒子を用いた微小炎症検出系の開発(Naim F et al. Bio Protoc. 2023 Apr 5;13(7):e4644.)、個体レベルでの低酸素状態の可視化手法の開発(Sakamoto et al., ACS Nano. 2024 Feb 13;18(6):5167-5179.)、GVHD(移植片対宿主病)予防薬であるカルシニューリン阻害薬が一過性(transitory)疲弊T細胞を誘導することで、逆慢性GVHDの発症してしまう機構の解明などを行った(Senjo et al., Calcineurin inhibitor inhibits tolerance induction by suppressing terminal exhaustion of donor T cells after allo-HCT. Blood. 2023 Aug 3;142(5):477-492.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題提案者はこれまでに個体内の細胞の位置情報・機能情報を包括的に解析する手法として組織透明化手法の開発を進めており、がん微小転移など個体に おいて非常に少数な細胞によって引き起こされる生命現象の定量的解析に成功している。2023年度は蛍光プローブの開発、マイクロエマルジョン技術を用いたオミクス解析に取り組み、金粒子を用いた微小炎症検出系の開発(Naim et al., Bio Protoc, 2023)、個体レベルでの低酸素状態の可視化手法の開発(Sakamoto et al., ACS Nano, 2024)、GVHD(移植片対宿主病)予防薬であるカルシニューリン阻害薬が一過性(transitory)疲弊T細胞を誘導することで、逆慢性GVHDの発症してしまう機構の解明などを行った。 特に個体レベルでの低酸素状態の可視化手法の開発に関しては1.組織透明化試薬(BABB, Basilified BABB, Acidified BABB, CUBIC-R, CUBIC-R+, Acidified CUBIC-R)における蛍光色素(FITC, TAMRA, SI-Rhodamine, Cy3, Cy5, Tokyo Green, Me-Si-Rhodol, Me-Si-Rhodamine, PO-Rhodamine, BODIPY)の光物性評価、2.蛍光標識したPimonidazoleの低酸素細胞の取り込み効率評価、3.個体における低酸素細胞の可視化を行うことで、個体レベルでの低酸素状態の可視化プローブとしてMe-Si-Rhodol標識Pimonidazole、BODIPY標識Pimonidazoleが利用可能であることを発表した。
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