研究課題/領域番号 |
22K15438
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
代 健 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (40868296)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ポルフィリン症 / コプロポルフィリノーゲン酸化酵素(Cpox) / モデルマウス / 肝臓損害 / 皮膚損害 / 肝癌 / DNA損傷 / 脂質代謝 / Cpox変異 / 皮膚線維化 / 肝腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝性ポルフィリン症は、ポルフィリン生合成経路で働く一連の8種の酵素をコードする遺伝子のいずれかの変異により、ポルフィリン中間体が過剰に産生されて皮膚症状、肝障害などの多彩な病態を発現する疾患である。適切なポルフィリン症モデルが存在しないため、ポルフィリン中間体がこれらの病態を発現させる機序は未だ不明である。本応募者は、コプロポルフィリン症を自然発症するミュータントマウスを世界で初めて発見した。そこで、本マウスの病理学的特性を詳細に解析し、さらに“オーム解析”による細胞内の分子変動を包括的に明らかとすることで、ポルフィリン症の細胞・分子機序を解明し、本症の治療のための経路・分子標的を同定する。
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研究実績の概要 |
コプロポルフィリノーゲン酸化酵素(Cpox)遺伝子に活性低下型突然変異をもつマウス(Cpoxnctマウス)における、コプロポルフィリノーゲン蓄積によるポルフィリン症様多臓器障害の病態変化と肝腫瘍の発症機序の解明を行い、雄性Cpoxnctマウスがヒトのポルフィリン症の多彩な病態発症の機序の解明、および介入方法の探索に有用なモデルであることを明らかとした。 3~24ヶ月齢のCpoxnctマウスの主要臓器の病理学的解析の結果、3ヶ月齢以降の雄マウスにから重篤な肝細胞障害が観察された。9ヶ月齢で一部の雄マウス(1/5)には肝腫瘍が認められ、15ヶ月以上の雄マウスの全個体(11/11)に肝癌を認めた。さらに、雄マウスは皮膚の線維化や腎臓の肥大などの病理変化に加え、20ヶ月齢以上では一部の個体(3/5)に肺癌も発症していた。一方、雌マウスには軽度の肝細胞障害が観察されたが、他の病態変化は認められなかった。 電子顕微鏡と免疫蛍光染色により雄性Cpoxnctマウスの肝細胞の病態変化をさらに詳細に解析し、細胞核形態と核膜構造の異常、広範なDNA損傷や肝細胞増殖を明らかとした。さらにRNA-Seq法によりCpoxnctマウスの肝臓におけるmRNA転写産物を網羅的に解析した。その結果、化合物代謝や脂質代謝に関係する多数の遺伝子に加えて、9ヶ月齢の雄マウスの肝細胞では細胞増殖、Protein Kinaseなど様々な生物学的経路に関与する遺伝子の発現変化が確認された。特にEGFR、Fgfr、Jun、Cdh1など発癌関連相遺伝子の発現の亢進が顕著であることから、肝細胞におけるコプロポルフィリノーゲン蓄積はDNA損傷と細胞増殖の異常亢進を惹起してがんを生じさせるとの機序が明らかとなった。
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