研究課題/領域番号 |
22K15440
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
白木 之浩 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40804753)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 神経変性疾患 / 血管周囲線維芽細胞 / Meflin / 間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、神経変性疾患に共通した早期病態の一つとして血液脳関門・血液脊髄関門の破綻が指摘されており、その原因として血管周皮細胞(ペリサイト)あるいは血管周囲線維芽細胞(perivascular fibroblast: PVF)の変性が注目されている。申請者の研究グループでは間葉系幹細胞の特異的マーカーMeflinの分子機能を検証する過程において、MeflinがPVFの一部で発現していることを見出した。Meflin陽性PVFが神経変性疾患において疾患抑制的に働いている可能性を考えており、Meflin陽性PVFの機能を明らかにし、同疾患群の早期病態を解明することで治療シーズの開発につなげたい。
|
研究実績の概要 |
本研究では、アルツハイマー病(AD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態において疾患抑制性と考えられるMeflin陽性血管周囲線維芽細胞の機能を明らかにし、同疾患群の早期病態を解明するとともに治療シーズを開発することである。 当該年度に実施した研究としては、ALSのマウスモデルとMeflin欠損マウスを交配させ表現型の検討を行ったが、麻痺などの神経症状発症時期に明らかな差を見出すことはできなかった。更に、マウスから得られた脊髄における組織学的な所見についても、神経細胞の減少数やミクログリアの増加などには違いがなく、ALSマウスモデルにおけるMeflin分子の重要性を示す証拠は得られなかった。 また、ADのマウスモデルとMeflin欠損マウスを交配し、ADマウスモデルでの表現型の検討した結果、アミロイドβの沈着が予想に反してMeflin欠損マウスで少ないという結果が得られた。疾患抑制性と考えていたMeflinの機能が、むしろ疾患を増悪している可能性があることがわかった。 ヒト検体でのMeflin陽性細胞の局在の検討では、主に髄膜における線維芽細胞で陽性細胞が確認され、神経変性疾患においてMeflin陽性細胞が増加している症例が認められた。しかし、検出できない症例も比較的多く、コントロール症例においても増加している症例も存在していることから、病的状態で増加するという結論には至っていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ALSマウスモデルとMeflin欠損マウスを用いたMeflin分子の機能解析については、表現型を見出すことが出来ず、ADマウスモデルを用いた結果は予想とは異なるものであったため、仮説を立て直す必要性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
ADマウスモデルでの表現型として、より長期期間観察した場合にもアミロイドβの形成がMeflin欠損マウスで減少するかどうかの検討を進めていく。また、アミロイドβの形成が阻害される原因としてミクログリアなどの関与が疑われるため、ミクログリアとMeflin陽性細胞との相互作用も検討していく。
|