研究課題/領域番号 |
22K15441
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
國石 茉里 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (70804326)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | FDC / IgA / IgE / allergy |
研究開始時の研究の概要 |
花粉症などのI型アレルギー疾患では、粘膜組織よりアレルゲンが侵入することにより一連の免疫反応が生じ、アレルギー反応が惹起される。IgA抗体は粘膜組織でアレルゲンの侵入を防ぐことが報告されているが、I型アレルギー疾患でのIgA産生のメカニズムについては分かっていない点が多い。本研究では、B細胞が抗体産生を誘導する環境を作り出すストローマ細胞Follicular dendritic cell (FDC)に着目し、アレルギー性鼻炎モデルマウスを用いて、FDCによるIgA抗体の分子制御メカニズムを明らかにする。これらにより、アレルギー疾患時のIgA抗体の産生制御機序の一端の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
I型アレルギー疾患ではアレルゲンが粘膜組織から取り込まれることでアレルギー反応の惹起に繋がる。粘膜組織のIgA抗体はアレルゲンに結合することで、生体内への侵入を防ぐことが報告されているが、I型アレルギー疾患でのIgA抗体産生の機序については分かっていないことが多い。そこで、本課題ではアレルギー性鼻炎モデルマウスから単離したFDCと、B細胞を試験管内で共培養実験することで、FDCによるIgA抗体産生の制御機序を明らかにすることを目指している。本年度は、BALB/cマウスへ抗原(TNP-OVAなど)とアジュバントAlumを投与し、抗原特異的なIgE抗体を誘導するアレルギー性鼻炎モデルマウスを作製した。その条件下で、IgA抗体産生細胞がどのような挙動を示すか検討した。IgA抗体の誘導に関わる腸間膜リンパ節、そして経鼻投与した際の所属リンパ節で、経鼻投与後1日目で抗原特異的なIgEとIgA抗体産生細胞が増加した。所属リンパ節ではその後14日後までに徐々に減少した。一方で、腸間膜リンパ節では、経鼻投与後1日目で増加し、その後14日目にも抗原特異的な抗体産生細胞数が維持されたままであった。この結果から、IgE抗体の誘導されるアレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、IgA抗体産生細胞は、IgE抗体産生細胞と同様の挙動をすることが分かった。さらに、アレルギーモデルマウスからFDCを回収し、B細胞と、IL-5やTGF-betaなどIgA抗体の誘導に重要な因子と共培養した。その結果、定常状態のFDCと同様に、IgA抗体の誘導に大きな差はみられなかった。この共培養実験では、IgA抗体誘導因子を添加しているため、FDCの機能の差が見えにくいことが想定される。そのため、現在各マウスより、FDCを回収して遺伝子発現を比較する実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、定常状態のマウスとアレルギー性鼻炎モデルマウスより腸間膜リンパ節と顎下リンパ節のFDCをそれぞれ単離し、B細胞と共培養実験を行うことで、B細胞のIgA産生について評価したが変わらなかった。当初の目的であったFDCを欠損させる実験に関しては現在検討中であり、そのため、進捗状況をやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、アレルギー性鼻炎モデルマウスからFDCを単離し、定常状態のマウスのFDCと比較するために、B細胞との共培養実験をした。今後は、アレルギーモデルマウスより、FDCを回収して、TGF-betaやBAFFなどFDCで発現するIgA抗体の誘導に重要な因子の発現について解析をすすめる。また、FDCの欠損方法も検討し、FDCによるIgA抗体産生への影響を明らかにしたいと考えている。
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