研究課題/領域番号 |
22K15446
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
青木 亮二 日本大学, 医学部, 助教 (20939607)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 非肥満型高血糖 / 低出生体重児 / ミトコンドリア |
研究開始時の研究の概要 |
低出生体重児は、成人期の内臓脂肪増加による非肥満型糖尿病の発症リスクが高く、その予防法の開発が喫緊の課題である。我々は子宮内虚血操作により低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルの作成に世界で初めて成功した(特願2020-116354)。本研究で①その子宮内虚血を用いた低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルの体組成異常と高血糖となる機序を解明すること、②身長促進効果以外にも体組成改善効果を持つ成長ホルモンを幼仔期から投与することで高血糖の発症を予防できるかを明らかにできれば、低出生体重児の成人期の非肥満型糖尿病を激減させることができる。その結果、低出生体重児の健康増進に大きく貢献できる。
|
研究実績の概要 |
【背景】低出生体重児の一部は、将来、顕著な肥満を伴わずに糖尿病を発症する。低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルを用い、低出生体重-非肥満型高血糖発症の機序を解明し、インスリン抵抗性を含むミトコンドリア機能異常の存在が確認された。低出生体重-非肥満型高血糖モデルマウスに体組成改善作用を持つgrowth hormone(GH)を投与することで、インスリン抵抗性が改善するかを検討した。 【方法】子宮内を虚血にする群(Ischemia群)は、妊娠16.5日目に子宮動脈を15分間遮断した。子宮動脈を遮断しない群をControl群とした。生後4週にIschemia群の雌マウスをGH投与群(Ischemia-GH群)とGH非投与群(Ischemia群)に分けた。Ischemia-GH群に生後4週から生後8週までGHを0.5mg/kg/weekで投与した。生後8週で血糖代謝、脂質代謝、体組成、肝臓と筋肉メタボローム解析および筋病理解析を行った。 【結果と考察】Ischemia-GH群でIschemia群と比較して、明らかな体組成改善を認めなかったが、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)が改善した。筋病理解析において、Ischemia群で有意にtype2 muscle fiberの割合が多く、GH投与によって筋線維タイプが変化した。肝メタボローム解析結果からIschemia-GH群でIschemia群と比較して、酸化ストレス物質の減少とATP産生の上昇が有意に認められ、ミトコンドリア機能障害の改善を示唆した。 【結語】GH投与によって筋線維タイプの変化とミトコンドリア機能改善がみられ、インスリン抵抗性の改善に寄与した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画で予定していた低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルを用いた低出生体重-非肥満型高血糖発症の機序の解明に関して順調に進展し、低出生体重-非肥満型高血糖発症機序の要因として、除脂肪重量の低下による筋原性インスリン抵抗性の増加とミトコンドリア機能異常が考えられた。研究は予定通りに遂行しているが、コロナの流行に伴い予定していた学会への参加が遅れ、論文作成を行っており、やや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画で予定していた低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルを用いた成長ホルモンの効果についての研究を推進していく。また、糖代謝、脂質代謝に関する生化学的検査、肝臓・脂肪を用いてメタボローム解析を行う。肥満、糖尿病、脂質異常症に関連する蛋白質・RNA解析そして遺伝学的解析と病理組織学的解析も行っていく。学会発表や論文の作成を行っていく。
|