研究課題/領域番号 |
22K15450
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
迫口 瑛史 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60914174)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 熱帯熱マラリア原虫 / RIFIN / ヒト免疫受容体 / 宿主免疫応答 / 熱帯熱マラリア / 免疫抑制化受容体 / 宿主免疫逃避機構 |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯熱マラリア患者は原虫の反復感染後も十分な獲得免疫が得られないため、原虫による積極的な宿主免疫逃避機構の存在が示唆される。これまでに我々は、原虫由来の赤血球表面抗原であるRIFINが複数のヒト免疫抑制化受容体との結合を介して免疫応答を抑制し、原虫の宿主免疫逃避に関与することを明らかにした。原虫ゲノム上には150種類以上のRIFIN遺伝子が存在するが、機能が明らかとなったRIFINは全体の10%にも満たず、その全貌は未だに不明である。本研究では、全RIFINを対象としたRIFIN expression libraryを作製し、あらゆる抑制化受容体との結合を網羅的に解析することで、RIFINによる免疫逃避機構の分子基盤の全貌解明を試みる。
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研究実績の概要 |
これまでの研究代表者らの研究で、熱帯熱マラリア原虫感染赤血球表面抗原の一つであるRIFINと呼ばれる分子が、宿主免疫細胞上の複数の免疫抑制化受容体と相互作用することで宿主免疫応答を抑制し、これが原虫による宿主免疫逃避機構に関与していることがわかってきた。ところが、RIFINは個々の原虫ゲノム上に150種類以上存在する多重遺伝子ファミリータンパク質であり、現在までに機能が明らかになったRIFINは全体の10%にも満たず、RIFINによる宿主免疫応答修飾機能の全体像は未だに明らかになっていない。 2022年度の研究では、実験室株由来の全RIFINを対象としたRIFIN expression libraryの作製を行い、実際に全体の98%以上をカバーするようなlibraryの作製に成功した。さらに、このlibraryを解析することにより、新たに全体の20%に相当するRIFINの機能を明らかにした。この中には、これまでに報告のない免疫受容体と特異的な結合活性を示す複数のRIFINも含まれていることがわかった。これらの新規のRIFIN-免疫受容体相互作用に関して、海外研究機関との共同研究でRIFIN-免疫受容体複合体の結晶構造解析を実施し、相互作用に必須のアミノ酸領域を同定した。また、これらの新規免疫受容体結合RIFINの実際のヒト免疫細胞に対する作用を検討し、RIFINによる受容体特異的な宿主免疫細胞修飾機能を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度の研究では、実験室株由来RIFINの98%以上をカバーするようなRIFIN expression libraryの作製に成功した。さらに、このlibraryの解析から、新たに全体の20%に相当するRIFINの機能を明らかにした。この中には、これまでに報告のない免疫受容体と特異的な結合活性を示す複数のRIFINも含まれていた。これらの新規のRIFIN-免疫受容体相互作用に関して、海外研究機関との共同研究でRIFIN-免疫受容体複合体の結晶構造解析を実施し、相互作用に必須のアミノ酸領域を同定した。また、これらの新規免疫受容体結合RIFINによる受容体特異的な宿主免疫細胞修飾機能を確認した。このように、当初の計画以上の研究成果が現時点で得られているため、本研究課題の進捗状況は非常に良好であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究で、RIFINの機能解析に非常に有用なRIFIN expression libraryを得て、新たに全体の20%程度のRIFINの免疫学的機能を明らかにした。ところが、未だに全体の70%程度のRIFINの機能は不明なままである。これまでの研究でRIFINとの相互作用を検討した免疫受容体数は小規模であったため、今後の研究ではより大規模の免疫受容体とRIFINとの相互作用を検討することで、RIFINによる宿主免疫応答修飾機能の全体像を明らかにする。
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