研究課題/領域番号 |
22K15457
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 隆司 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20845200)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 類鼻疽 |
研究開始時の研究の概要 |
類鼻疽は類鼻疽菌の感染によって引き起こされる感染症であり、流行地域は東南アジアやオーストラリア北部などに限局されるが、本邦を含めた先進国においても輸入感染例が報告されている。急性経過を辿った場合の致死率は極めて高いが、一方で慢性経過を辿る場合や不顕性感染、潜伏感染例も報告されている。しかしながら、既知の病原因子の作用のみではこの多彩な感染様態を説明することはできない。そこで本研究では類鼻疽菌の多彩な感染様態を規定する因子の同定とその機能解明を目指す。得られた知見は、類鼻疽の発症原理に基づく診断法や治療法の開発に寄与できると期待される。
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研究実績の概要 |
類鼻疽菌の感染によって起こる類鼻疽は、急性経過を辿る場合が多いが、慢性感染や潜伏感染となることも知られている。この原因の一つとして類鼻疽菌株によって病原性の強さが異なること挙げられるが、病原性の違いが何によって決定されているかについては不明である。そこでマウスに対して異なる病原性を示す類鼻疽菌株について比較解析を行うことで、類鼻疽菌の病原性を決定する因子の同定を試みた。マウスへの病原性とコロニーの形状などの表現型が相関することが既に分かっていたため、本年度は、コロニーの表現型に関わる遺伝子の探索と同定、および同定した遺伝子欠損株の細胞に対する病原性の評価を行なった。まず、各菌株の全ゲノムを決定し、比較することにより、表現型が共通する株のみが保持している遺伝子あるいは欠失している遺伝子の同定を試みたが、候補となる遺伝子は得られなかった。そこで、先行研究でコロニーの形状に関わるとされる遺伝子、およびトランスポゾンを利用したスクリーニングによりコロニー形状に関わると思われる遺伝子のリストアップを行った。次に一部の候補遺伝子について欠損株あるいは過剰発現株を作製したところ、実際にコロニー形状が変化することが確認された。このうちコロニーの色に関わる遺伝子については、過剰発現株を細胞に感染させ、細胞内での増殖性の評価を行った。その結果、過剰発現株は細胞内における増殖性が低下する傾向が認められた。このことから同定された遺伝子は、類鼻疽菌株間の異なる病原性を規定する因子の一つである可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り各菌株の全ゲノムを決定し、ゲノムの比較解析を行ったが、表現型と相関のみられる遺伝子の同定ができなかった。そこで、スクリーニングを行うための実験手法の検討およびスクリーニングにより候補となった遺伝子について、欠損株作製等を行った。これらの実験に時間を要したため、候補遺伝子とマウスへの病原性との関連を検討するには至らなかった。しかし、この遅れは研究計画当初から起こりうると想定していた範囲内である。
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今後の研究の推進方策 |
表現型に関与する候補遺伝子を先行研究およびスクリーニングによりリストアップし、一部の遺伝子に関してはその欠損株の作製とin vitroにおける表現型の確認まで行うことができた。よって当初の計画通り、残りの遺伝子についても順次欠損株等を作製し、実際にコロニー形状に関与するか否かについて検討を行い、その後マウスへの病原性を確認していく。さらに病原性に関与した遺伝子について、その機能解析を進めていく予定である。
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