研究課題/領域番号 |
22K15459
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
芦澤 信之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (30869037)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腹膜線維症 / カンジダ腹膜炎 |
研究開始時の研究の概要 |
長期の腹膜透析(PD)は腹膜線維症(Peritoneal fibrosis:PF)を惹起し、腹膜の機能的異常をきたす。感染性腹膜炎もPDにおける合併症で、真菌(カビ)の一種であるカンジダ属による腹膜炎は高い死亡率をきたす。しかしながら、カンジダ腹膜炎に対する抗真菌薬の選択根拠となるエビデンスは乏しい。 本研究では、マウスモデルを使用し、PFの存在がカンジダ腹膜炎に対して及ぼす予後をいろいろな菌種において解析し、異なる抗真菌薬による治療効果を解明することを目的とする。今後の適切な抗真菌薬選択の確立へとつながり、PDの安全性や患者の予後改善に寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
2022(令和4)年度は、これまでに確立したCandida albicans腹膜炎マウスモデルを用いて、フルコナゾールによる治療実験を試みた。0.1%クロルヘキシジンを3週間かけて計9回腹腔内投与することで作製する腹膜線維症マウスモデルと、対照群の非腹膜線維症マウスそれぞれに対して、C. albicans 5×10^7 CFU/mL/mouseを腹腔内接種した。フルコナゾール0mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、50mg/kg、125mg/kgの用量を、感染2時間後に初回、以降6日後まで連日、計7日間皮下注した。治療開始7日後までの評価で、非腹膜線維症マウス群では2mg/kg以上の投与で死亡せず、腹膜線維症マウス群では5mg/kg以上では死亡しなかった。 2023(令和5)年度は、C. glabrata腹膜炎マウスモデルの確立を試みた。既報を参考に、5×10^7, 5×10^8, 5×10^9 CFU/mL/mouseを腹腔内接種したところ、感染7日後、14日後で、いずれの菌量においても非腹膜線維症群において死亡数が多かった。 今後上記の再現性評価のための実験を行い、C. albicansに対するFLCZ用量の決定とC. glabrata腹膜炎モデルの確立の実現性について評価する。その後、臓器内菌数や病理学的な評価を行うことで、腹膜線維症存在下でのカンジダ腹膜炎における、各菌種による感染様式や、各抗真菌薬の治療効果について解明を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Candida glabrataを使用した腹膜炎マウスモデルの作製は今回が初めてであり、既報を参考に今回設定した菌量の決定や、菌液の調整、また生存曲線の確認まで1か月以上を要する実験系であり、実験計画の設定が困難で、進捗に多少遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
腹膜線維症の有無における、Candida albicans腹膜炎マウスモデルに対するフルコナゾールの至適投与濃度について改めて評価を行う。また、Candida glabrata腹膜炎について、改めて接種菌量を検討しながら、腹膜炎モデル確立の実現性について評価する。モデルが確立できれば、ミカファンギンによる治療実験での生存率の評価を行う。 その後、それぞれについて臓器・血液内生菌数、病理所見の比較検討を行う予定である。前者においてはフルコナゾール投与による、カンジダの組織侵襲性等に与える影響を評価する。また、後者においては、Candida albicansとの感染様式の差異を評価したうえで、ミカファンギン投与による、カンジダの組織侵襲性等に与える影響を評価する。
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