研究課題/領域番号 |
22K15460
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
|
研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 (2023) 順天堂大学 (2022) |
研究代表者 |
遠矢 真理 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 主任研究官 (20804694)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | Pseudomonas / 全ゲノム解析 / 薬剤耐性 / 新菌種 / 菌種同定 / 病原因子 |
研究開始時の研究の概要 |
カルバペネム耐性臨床分離株からP. asiatica, P. juntendiおよびP. yangonensisを発見、提唱した。医療施設で分離された42株のPseudomonas属菌を調べたところ、9種類の新菌種が含まれていること、特定の2菌種が生来コリスチン耐性であることを見出した。本研究の目的は、ヒトで分離される緑膿菌以外のPseudomonas属の細菌学的、遺伝学的特性を明らかにすることである。このために医療施設から分離された1) Pseudomonas属菌株を収集し、2) 全ゲノム情報を基にした菌種同定、薬剤耐性因子及び薬剤耐性メカニズム、3) 病原性及び病原因子を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
Pseudomonas属菌は、300菌種以上が属し細菌のなかでは大きな属の一つである。また近縁な菌種の場合、Pseudomonas属菌は菌種間の16S rRNA遺伝子配列の相同性が99%を超える場合があり、正確な菌種同定が難しい属である。 研究代表者は、研究協力者が2019年から2020年に東南アジアで行ったカルバペネム耐性サーベイランスで分離した87株のグラム陰性桿菌の菌種同定をおこなった。菌種同定機器 (Vitek) で1次スクリーニングを行ったところ、Pseumonas属もしくは以前にPseudomonasとして分類されていた属と分類された株は13株あった。これら13株の全ゲノム情報を取得し、そのゲノムデータを基にした菌種同定解析、ANI(Average nucleotide identitiy)とdDDH(digital DNA-DNA hybridization) 解析を行った。ANIとdDDHの結果とVitekでの結果を比較したところ、VitekでP. aeruginosaとして同定されているものはANIやdDDH解析でもP. aeruginosaと同定された。一方VitekでStenotrophomonas maltophiliaとして同定されたものはStenotrophomonas属の別菌種もしくはPseudomonas菌種と同定される株があった。分類した13株の薬剤感受性試験を行ったところ、イミぺネムやメロぺネムに耐性を示しており、半数の株ではアルベカシンとアミカシンが高度耐性を示していた。薬剤耐性遺伝子の検索を行い、薬剤感受性の結果と照らし合わせたところ、カルバペネム耐性に関連する遺伝子をすべての株が持っており、カルバペネム耐性の機序の説明ができた。一方で、アルベカシンとアミカシンが高度耐性については、一部の菌では機序を説明できないものもあった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属研究機関の移動があり、研究を一時中断しなければならない期間があった。 また実験を行う上での追加の申請手続きも出てきており、実験ペースが当初よりも遅くなってしまっている。
|
今後の研究の推進方策 |
Pseudomonas属菌種がそろってきたので、それぞれの菌種のカイコへの接種試験をおこなう。カイコに菌株を接種し、生死観察を行い、それぞれの菌株のLD50を決定する。 また全ゲノム情報から薬剤耐性に関与しうる新規の候補遺伝子をみつけ、クローニングをおこない、新規薬剤耐性遺伝子の検索を行う。
|