研究課題/領域番号 |
22K15467
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高橋 龍樹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30908827)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | RSウイルス / リバースジェネティクス / シンシチウム / F蛋白質 / 病原性 / 感染拡大能 / 呼吸器感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
乳幼児に重篤な呼吸器症状を引き起こすヒトRSウイルスは、感染組織に特徴的な多核巨細胞(シンシチウム)を形成する。このシンシチウムは、本ウイルスの病原性発現や感染拡大に重要である可能性が考えられているものの、それらを具体的に検討した報告はない。そこで、本研究では、I. シンシチウムの形成に重要なウイルスの膜蛋白質のアミノ酸配列を同定する。II. Iで同定された配列を有することで、効率的にシンシチウムを形成できる株は、病原性および増殖能も高いのか明らかにする。これらの検証をもって、ヒトRSウイルスのシンシチウム形成能と、病原性および感染拡大能の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
乳幼児に重篤な呼吸器症状を引き起こすRSウイルスは、特徴的なシンシチウムを形成する。本研究では、RSウイルスのシンシチウム形成能と、病原性および感染拡大能の関係を検証している。具体的には、RSウイルスのF蛋白質(シンシチウムの形成に寄与)について、 ① シンシチウム形成能の高い株と低い株にどのような違いがあるか、② シンシチウム形成能に重要なアミノ酸配列は何か検証する。さらにはマウスモデルを用いて③ シンシチウム形成能の高い株は、病原性および感染拡大能も高いのか検討する。①の比較検討について、昨年度確立された"シンシチウム形成能を定量的に評価するシステム"を用いて、シンシチウム形成能の高い株と低い株を比較した。その結果、必ずしもF蛋白質がその違いを生み出しているとは限らないことが示された。さらに、他の蛋白質が極めて重要である可能性を見出した。その蛋白質について、②の検証を行った。すなわちその蛋白質のどのアミノ酸が病原性やシンシチウム形成に寄与するか評価した。昨年度確立したリバースジェネティクス技術を用いた評価を実施したところ、重要なドメインを決定することができた。来年度アミノ酸レベルまで決定する予定である。③の検証のために、マウスモデルの準備を整えた。具体的には、確立したマウス馴化株を用いて、接種ルートや方法をより詳細に検討した。その結果、RSウイルス感染マウスモデルのより強毒モデルの確立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していた、① シンシチウム形成能の高い株と低い株にどのような違いがあるか、② シンシチウム形成能に重要なアミノ酸配列は何か の二点の検証について、当初の予想とは異なったものの、その後方向性の修正を行った結果、シンシチウムや感染拡大、病原性に寄与すると予想される別の蛋白質の同定にまで到達した。それだけにとどまらず、そのドメインの決定まで到達できたことは本年度の重要な成果と言える。また、次年度のためのマウスモデルの準備などが進められたため、次年度、計画通りの研究を実行できると予想する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、当初の予定通り、② シンシチウム形成能に重要なアミノ酸配列の決定、ならびに③ シンシチウム形成能の高い株は、病原性および感染拡大能も高いかの評価 を行う。本検討について、これまでに確立したリバースジェネティクス法およびマウスモデルを活用する。
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