研究課題/領域番号 |
22K15469
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高田 光輔 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教(常勤) (40881701)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | RNAウイルス / ゲノム進化 / SARS-CoV-2 / ゲノム多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
RNAウイルスの一種であるコロナウイルスは、遺伝子校正機能を担う酵素を備えているため、他のRNAウイルスと比較してゲノム変異を起こしにくい。しかし、SARS-CoV-2は、これまで多様なゲノム変異が確認され、ゲノム進化やゲノム多様化機構について不明な点が多い。本研究では、SARS-CoV-2のゲノム多様化機構の一端を明らかにする。公共データベースのゲノム配列を解析し、ゲノム変異を起こし易い性質に関わるアミノ酸置換を同定し、そのアミノ酸置換による影響を培養細胞と動物モデルで調べる。さらに、ゲノム変異を起こし易いウイルス株の存在意義を提唱するため、抗原変異株の出現や低感受性動物への適応を検証する。
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研究実績の概要 |
ウイルスのゲノム突然変異率には、ウイルスが持つRNA依存RNAポリメラーゼの忠実性や、校正機能などが影響する。RNAウイルスの一種であるコロナウイルスは、校正機能を担う酵素(nsp14)を備えているため、RNAウイルスの中ではゲノム突然変異が起こりにくいことが知られている(Sjaarda et al. mSphere. 2021)。しかしながら、SARS-CoV-2は、短期間の間に、ゲノム突然変異が起こり、多様な変異株が出現している。本研究の目的は、SARS-CoV-2のゲノム変異機構の一端を明らかにし、RNAウイルスの生存戦略として"ゲノム突然変異を起こしやすいウイルス株"が出現する意味を提案することである。 本年度では、公共データベースより取得したSARS-CoV-2ゲノム配列を、nsp14の配列でクラスタリングし、ゲノム進化速度を解析した。その結果、nsp14-P203Lを持つウイルス株はゲノム進化速度が大きい傾向があることが示された。次に、nsp14-P203L変異ウイルスならびに野生型ウイルスを作出し、VeroE6/TMPRSS2細胞におけるウイルス性状を比較した。その結果、nsp14-P203L変異体は野生型ウイルスと比較し、わずかに増殖効率が低下するが、VeroE6/TMPRSS2細胞で増殖したnsp14-P203L変異体のゲノム変異は、野生型ウイルスと同程度であることが明らかとなった。また、感受性の高い動物(シリアンハムスター)に野生型ウイルスまたは変異型ウイルスを感染し、生体におけるウイルス性状を比較した。その結果、nsp14-P203L変異体は、野生型ウイルスと同程度の病原性や増殖性を示し、ハムスターの肺で増殖したnsp14-P203L変異体は野生型ウイルスよりも多様なゲノム変異が検出されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公共データベース(GISAIDやGenBank)より取得したSARS-CoV-2ゲノム配列を、nsp14の配列でクラスタリングし、ゲノム進化速度やゲノム多様性を解析したところ、nsp14-P203Lを持つウイルス株はゲノム進化速度が大きい傾向があることを明らかにした。さらに、リバースジェネティクス法でnsp14-P203Lを持つ組換えウイルスを作出し、培養細胞と動物モデルを用いウイルス性状を解析した。nsp14-P203L変異体はシリアンハムスターの肺においてゲノム多様性が増加することが示された。研究計画は概ね順調に進んでおり、今後さらなる発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
自然界において、nsp14変異ウイルス(”ゲノム突然変異を起こしやすいウイルス株”)が出現する意味を提案するため、nsp14-P203L変異体が、ウイルスの新たな環境への適応に寄与しうるかを検証する。昨年度の成果から、nsp14-P203L変異体はシリアンハムスターの肺においてゲノム多様性が増加することが示された。そこで、野生型ウイルスまたは、nsp14変異型ウイルスを、低感受性動物(一度ウイルス感染を経験し免疫を獲得したハムスターなど)へ感染し、新たな環境に適応したウイルスが出現するか調べる。
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