研究課題
若手研究
C型肝炎ウイルス(HCV)はウイルスゲノムに遺伝子変異が蓄積することが薬剤耐性変異や治癒後の肝発癌の原因と考えられる。しかしながら、遺伝子変異蓄積の多様性にアプローチした研究はあまりなされていない。研究者らは、 HCVの細胞内複製モデルを9年に渡り継代培養し、HCVゲノムは多様性を保ったまま時間依存的に且つ直線的に変異が蓄積増大していくことを最近明らかにした。本研究では、貴重な同モデルを用いて継代0-12年目の各HCVゲノムの変異蓄積を解析することで長期的な変異動態の詳細を明らかにする。さらにそのデータを数理モデル化し、新型コロナウイルスな どを含めたRNAウイルス進化モデルへの応用を目指す。
C型肝炎ウイルス(HCV)は、肝臓内での長期的なウイルスの感染・増殖によってウイルスゲノムに遺伝子変異が蓄積することが薬剤耐性変異や治癒後の肝発癌の原因と考えられる。しかしながら、HCV持続感染系の長期的な維持は難しく、構造領域の欠損などが頻繁に起こってしまうため遺伝子変異蓄積の多様性にアプローチした研究はあまりなされていない。本研究では、HCVの細胞内複製モデルを10年以上に渡り継代培養し、HCVゲノムを第3世代ロングリードシークエンサで長期的な変異動態の詳細を明らかにするだけでなく、そのデータを数理モデル化し、新型コロナウイルスなどを含めたRNAウイルス進化モデルへの応用を目指している。本年度の研究では、我々が樹立し、13年間継代培養を続けていた2系統のHCV細胞内複製モデル(sO細胞と50-1細胞)についての第3世代シークエンサを用いたロングリードシークエンスを行い、HCVゲノム全体の塩基配列を同定した。13年目でもHCVゲノムは多様性を保ったまま時間依存的に且つ直線的に変異が蓄積増大していることが明らかになった、HCVゲノムのシークエンスは継代0、2、4、6、8、10、12年時のものも並行して行い、サンガー法シークエンスでは見つからなかった新規の変異も多く見出された。これらの継時的な変異動態を数値化し、変異速度や新規変異の出現率など様々な指標データを作成した。これらのデータを用いてHCV以外のRNAウイルス(新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等)に対しても有効かを検討中である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 備考 (3件)
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