研究課題/領域番号 |
22K15514
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
谷村 恵子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研修員 (10768807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | RET / HER3 / YAP / RET-TKI / 治療抵抗性 / RET阻害薬 / 肺癌 / がん分子標的治療 |
研究開始時の研究の概要 |
RET肺がんにおいては近年新規RET阻害薬が開発・承認され、高い治療効果を示す一方で、既に耐性化の報告も散見されている。がん分子標的治療による抗腫瘍効果が得られている初期段階で生き残った「治療抵抗性細胞」が、後に不可逆的な耐性機構を獲得することで、がんが再発・進行するとされている。そのため、治療抵抗性細胞の段階で適切な治療介入を行うことで、耐性の獲得を防ぎ、がん患者の予後を改善させることが期待できる。本研究は、in vitro、in vivo実験を通して、RET阻害薬によって誘導される治療抵抗性機構を解明し、克服治療法の新規開発と臨床応用へと発展させることを目的として計画・遂行する。
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研究成果の概要 |
RET異常がん細胞株の中でもRETチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対し低感受性の細胞株では、RET-TKIの曝露によってHER3及び下流のERKシグナルが活性化していた。さらにRET-TKI低感受性株では転写因子YAPが細胞内で高発現であり、HER3やリガンドNRG1の転写に寄与していた。このことから、YAP-HER3軸はYAP高発現RET異常がんにおけるRET-TKIに対する治療抵抗性や細胞生存に極めて重要な役割を果たしていることが示唆され、YAP/HER3阻害とRET-TKIの併用が初期治療に非常に有効であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分子標的治療薬は特定の遺伝・分子プロファイルを有する腫瘍において、高い治療効果を示すことが知られているが、奏効が得られない患者も存在する。初期治療抵抗性の機序の解明・克服は、分子標的治療におけるより深い奏効を可能とし、生存予後の改善も期待できるため、多くの研究が進められている。 本研究では、RET異常がんにおけるRETチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)によって誘導される治療抵抗性として、YAP-HER3軸を見出し、治療標的となることを初めて明らかにした。臨床応用されればRETがん患者の予後を改善させる事が期待出来るが、安全性・有効性のさらなる検証が必要である。
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