研究課題/領域番号 |
22K15523
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
射場 智大 金沢大学, 医学系, 助教 (10908205)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 血管周皮細胞 / ペリサイト / 転移性腫瘍 / 血管等合成 / シングルセル解析 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍転移制御 / 細胞間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
日本では悪性新生物(がん)が死因の第1位となっており、克服すべき重大な疾患である。特に転移性腫瘍は原発巣の除去が出来ても、転移先全てを除去することは難しく、その根治には隔たりがある。そこで本研究では、腫瘍転移の制御法を確立することを目的とし研究を行う。腫瘍組織では腫瘍細胞だけでなく、様々な細胞が織りなす腫瘍微小環境という腫瘍が生存しやすい環境が構築される。その中で、ペリサイトと呼ばれる血管周囲に存在する細胞集団が、腫瘍転移のゲートキーパーたる役割を担うのではないかという仮説を立てた。これらの細胞を制御し、腫瘍転移を抑制する、新しい治療法の開発に繋がる基礎理論の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
がんの根治を考える上で、腫瘍細胞が獲得する転移能を制御し、原発巣に留めておく事は重要である。本研究においては、転移性腫瘍細胞が原発層から血管内へと浸潤する段階を阻止することを目標として、血管統合性の維持に関わるペリサイトを対象とした研究を行っている。腫瘍転移に際して、ペリサイトが定常状態と比較しどのよう変化が起きているのか、その中で腫瘍の転移と相関しているものは何か、またその調節機構についてバイオインフォマティクス的解析を用いる事で解明していく。 本年度は昨年度に引き続いて非転移性腫瘍、転移性腫瘍を移植したマウスのシングルセルデータを用いたバイオインフォマティクス的解析を主体に行った。昨年度までに行った手法に加えて、新しく細胞間相互作用に着目した解析手法としてCellChat等の解析パッケージを用いることにより、下記に示すような結果を得ることができた。 1)転移性腫瘍を移植したマウスでは非転移性腫瘍を移植したマウスに見られないペリサイトとそのほかの細胞の間で特徴的な細胞間相互作用が同定された。 2)上記で同定された細胞間相互作用についてその調節を担う因子について同定した。 これらの本年度に新しく得られた解析結果と、昨年までに得られたデータを用い、パスウェイ解析などを元に転移性に関与する調節因子の絞り込みを行っている。 これらの標的となりうる因子について、その一部についてトランスジェニックマウスの準備を進めるまでに至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は腫瘍転移亢進に関与するペリサイトの候補となる因子について、その絞り込みを行い、腫瘍転移能獲得に関わるペリサイトの制御ポイント候補を探索すること、また、これらについて生体内で検証を進めることであった。非転移性腫瘍、転移性腫瘍のシングルセルデータを解析する事により、転移性腫瘍で特徴的に亢進しているパスウェイが同定された。また、Nitchnetrや CellChatといった細胞間相互作用解析パッケージにより、ペリサイトとその他の細胞間における転移性腫瘍で特徴的な細胞間作用を同定した。本年度に得られたこれらのデータと、昨年までのデータを組み合わせ、制御ポイントなる候補因子の絞り込みを行った。候補因子については生体を利用しての検証の準備に着手していることから、研究計画に概ね則って研究が進行していると考えられ、本年度は概ね順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は現在準備しているトランスジェニックマウスや、ウイルスベクターを用いる事で、実際に同定された候補因子が主要転移能に関与しているか、検証を行う。具体的には、転移性腫瘍を移植したマウスについて、トランスジェニックマウスやウイルスベクターを投与する事で、これらの転移を抑制できるか、経時的に解析を行う。
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