研究課題/領域番号 |
22K15535
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
野崎 結 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (60646066)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / ペプチド / ペプチドワクチン療法 / エピトープペプチド / 頭頸部扁平上皮癌 / 頭頸部癌 / ROR1 / 癌免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部癌での癌免疫治療の新たな治療標的抗原として、受容体型チロシンキナーゼで細胞表面受容体のI型膜貫通タンパク質であるROR1(Receptor tyrosine kinase-like orphan receptor)に着目する。ROR1は様々な悪性腫瘍で発現していることが知られており、ROR1の頭頸部癌における発現およびその増殖や生存に寄与する影響を検討する。さらに、同タンパクから抗腫瘍T細胞を惹起可能なエピトープペプチドを同定し、ROR1発現腫瘍に対する新規ペプチドワクチンの開発を目指す。本研究では頭頸部扁平上皮癌検体における免疫細胞の検討から頭頸部癌での有効な癌免疫治療の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は頭頸部扁平上皮癌における癌ペプチドワクチン療法の基盤確立を目的として行われた。 細胞表面受容体のI型膜貫通タンパク質であるROR1(Recepter thyrosine kinase-like orphan recepter)に着目した。ROR1は胚組織でのみ発現しており、通常成人組織には存在せず、癌精巣抗原と考えられる。これを標的とすることは正常組織への障害が少ない免疫療法の開発につながる。また、ROR1には抗原性があり、様々な悪性腫瘍で発現していることが知られている。ROR1特異的ヘルパーエピトープは未だ発見されていない。本検討ではROR1が頭頸部癌の増殖や生存率と関わるか検討し、同タンパクから抗腫瘍T細胞を惹起可能なエピトープペプチドを同定することで新規ペプチドワクチンの開発を目指す。本研究では頭頸部扁平上皮癌検体における免疫細胞についても合わせて検討を行い、頭頸部癌の免疫微小環境の理解を進めることで有効な癌免疫治療の確立を目指す。最終的に、樹立したT細胞の抗腫瘍効果や、抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体といった免疫チェックポイント阻害薬との融合を目指した研究基盤を確立する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ROR1のアミノ酸配列より有効な抗腫瘍免疫を惹起できるエピトープ配列を複数同定した。これらのエピトープペプチドを用いて、直接癌を殺傷できる抗原特異的なCD4陽性T細胞を誘導した。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部扁平上皮癌でのROR1、HLA-classⅡ分子の発現を検討することで、ROR1エピトープペプチドによる癌ワクチン療法の適応となる症例の割合を調べる。また、腫瘍細胞及び浸潤免疫細胞におけるHLA-classⅠやHLA-classⅡ、PD-1、PD-L1の発現について免疫染色で検討する。得られた結果に基づき、ステージや予後との相関を明らかにする。また、腫瘍内の浸潤免疫細胞の数やCD4やCD8、CD56などを用いた免疫細胞により明らかにすることで、免疫療法の標的となりやすい症例を同定可能か検討する。次に、ROR1ペプチドによる癌ワクチン療法の実用性を検証するため、頭頸部癌患者の末梢血にROR1に応答可能なT細胞のprecursorが存在するか検討する。具体的には、頭頸部癌患者の末梢血からPBMCを分離し、ROR1エピトープペプチドと共培養した上清中でのIFN-γ分泌をELISA法で検討する。得られた結果を蓄積し臨床成績を解析することで、末梢血におけるROR1特異的HTLと予後との相関を検討する。
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