研究課題/領域番号 |
22K15551
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠原 佑記 東北大学, 大学病院, 助教 (50886562)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / 液性免疫 / Fc受容体 / メタボローム / サイトカイン / バイオマーカー / Fcレセプター / 腫瘍微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、免疫チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4抗体、抗PD-1/PD-L1抗体)が癌の治療薬として有望な成績をあげており、癌の新たな治療法として免疫療法が脚光をあびている。これまで申請者らは腫瘍と炎症に着目し研究を行い、腫瘍微小環境における様々な抑制性細胞、分子を報告してきた。また、ノックアウトマウスを用いた研究により腫瘍細胞に対する抗体が抑制性Fc受容体であるFcγ RIIBを介して抑制性の免疫環境を誘導していること見いだした。本研究は、これら液性免疫が関与した新たな腫瘍免疫の抑制メカニズムをがん患者の検体を用いて解析することで、新たな癌免疫療法の開発につながる知見の探索を行うものである。
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研究実績の概要 |
がん患者では血液中に腫瘍に対する抗体(抗腫瘍抗体)が認められることが知られているが、抗体が腫瘍免疫において果たす役割についてはこれまで明らかとなっていなかった。我々はノックアウトマウスを用いた研究により抗腫瘍抗体が抑制性のFcγ受容体を介して腫瘍微小環境に存在する免疫細胞の数や性質、産生するサイトカインなどを変化させ、抗腫瘍免疫を抑制する環境を形成していることを明らかにした。この抑制性のFcγ受容体はヒトにも共通し発現している分子であり、ヒトにおいても抗腫瘍抗体が腫瘍免疫を抑制している可能性が考えられた。 我々ははマウスモデルで認められた液性免疫による腫瘍微小環境への影響をがん患者検体を用いて検証すること目的として、東北大学病院個別化医療センターバイオバンク部門に収集されている癌患者の血清を用いて研究を行っている。 血中抗体価、サイトカイン量、代謝産物量などの測定を随時おこなっており、現在までに食道癌、胃癌、頭頸部癌、大腸癌の約80検体でサイトカインアレイによる解析を行った。また、今年度は食道癌の40検体、頭頸部癌の42検体でELISA法による抗p53抗体価測定を実施、食道癌の91検体、頭頸部癌の88検体でメタボローム解析を実施した。 同時に電子カルテより当該症例の生存期間、腫瘍縮小効果、奏効期間、有害事象、採血結果等の臨床経過を抽出し、患者選択や予後、治療効果を予測するバイオマーカー探索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者検体の抗体価測定、サイトカイン測定に加え、メタボローム解析も実施できている。 また、頭頸部癌患者に関しては臨床データの抽出を完了し、採血データより治療効果と関連する可能性のある因子について解析を行い、現在論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
残りの検体についての出庫は完了しており、測定キットが納品され次第、抗体価測定を行う。 また食道癌患者の臨床データについても収集を行い、頭頸部癌、食道癌それぞれにおいて予後や治療成績に影響を与える因子を網羅的に探索する。
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