研究課題/領域番号 |
22K15553
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 (2023) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
鈴木 拓真 東京薬科大学, その他部局等, アルバイト職員 (90867938)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん / 細胞死 / 遺伝子治療 / 単純ヘルペスウイルス / 多核巨細胞 / ネクロプトーシス / 腫瘍溶解性ウイルス療法 / oHSV / ヘルペスウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
単純ヘルペスウイルスでがんを治療する腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス(oHSV)の有効性を増強する方法のひとつとしてoHSVを多核巨細胞形成型に改変する方法が有望視されている。しかしながら、多核巨細胞形成に正常細胞を巻き込んだ際には細胞死が速やかに誘導され、感染拡大が停滞する要因となりうることが最近明らかとなった。本研究では、正常細胞とがん細胞が共存する環境において多核巨細胞形成型oHSVが誘導する細胞死の特性を解析することにより、関与する細胞死メカニズムの同定を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では、膜融合型の制限増殖型腫瘍溶解性HSV(CRsyn-oHSV)が誘導する多核巨細胞死にネクロプトーシスが関与しているか否かを検討した。ネクロプトーシスの実行分子であるMLKLは検討に用いた全てのがん細胞株において発現していたが、MLKLをリン酸化するRIPK3はほとんど発現していなかった。対照的に、RIPK3は線維芽細胞株においては発現していた。CRsyn-oHSVが感染したRIPK3欠損がん細胞株を線維芽細胞株と共培養したところ、RIPK3欠損がん細胞のみでは観察されなかったMLKLのリン酸化および多核巨細胞死が誘導され、ネクロプトーシスが関与することが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膜融合型腫瘍溶解性HSVは高い有効性が期待されているもののひとつである。本研究成果から、膜融合型腫瘍溶解性HSVの有用性を適切に評価するためには、ネクロプトーシスが正常に作動するような正常細胞をがん細胞と共培養した条件での評価が必要であることが明らかになった。より強力な膜融合型腫瘍溶解性HSVを開発するためには、例えば正常細胞は多核巨細胞形成に巻き込まず、がん細胞のみから成る多核巨細胞を形成することができる改変を組み合わせることが有用であると考えられる。本研究成果はHSV以外のウイルスを基盤とする膜融合型腫瘍溶解性ウイルスの開発においても重要な知見をもたらすことが期待できる。
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