研究課題/領域番号 |
22K15555
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
北沢 将人 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (10467152)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | KRAS変異 / 大腸癌 / MEK阻害剤 / KRAS阻害剤 / BCL-XL阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
KRAS変異は長らく“Undruggable target”と称され、治療標的に成り得ない状況が続いた。最近、KRAS変異G12Cの活性ポケットにはまり込む、AMG510が開発され、肺癌でその高い治療効果が明らかになり、KRAS変異が治療標的になり得ることが証明された。一方、大腸癌ではその効果は肺癌より劣ることも報告され、KRAS変異G12C阻害剤の耐性シグナルの存在が注目されているが、詳細は明らかではない。本研究の目的はこの耐性シグナルを明らかにし、同シグナルを同時に阻害することで、KRAS変異大腸癌に対しても有効な新規治療戦略を確立することである。また、新規G12D阻害剤についても同様の検討を行う。
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研究実績の概要 |
KRASは、ヒトの癌で最もよく変異するがん遺伝子の一つで、大腸癌の約40%に認められる。これらの変異型KRASタンパク質は、構成的にGTP結合活性状態にあり、RAF-MEK-ERK(MAPK)経路などの下流シグナルを持続的に活性化して、細胞の増殖と生存を促進する。変異型KRASは30年以上にわたって有効な薬剤が開発できず「Undruggable」と言われていました。最近、KRASG12C変異を標的とした共有結合型阻害剤が開発され、前臨床試験で有望な有効性が示された。2つのKRAS G12C阻害剤であるsotorasibとadagrasibは、すでに臨床応用されている。しかし、臨床試験において、KRAS G12C阻害剤は、非小細胞肺癌に対するほど大腸癌に対して有効ではないと報告された。大腸癌の同薬剤に対する耐性メカニズムを明らかにし、それを克服する治療戦略を構築することが極めて重要であると考え、研究を行った。 本研究では、肺癌と大腸癌細胞株を用いて、KRAS G12C阻害に対するフィードバック再活性化を評価した。また、KRAS G12C大腸癌に対するG12C阻害剤と併用効果のやる薬剤をスクリーニングした。次に、我々が考案したMix Culture Assaysを用いて、併用療法に有効な薬剤をスクリーニングした。さらに、大腸癌細胞において、KRAS、EGFR、MEKの同時阻害による抗腫瘍効果を評価した。本研究により、MEKとEGFRを同時に阻害することで、KRASG12C阻害に対する耐性シグナルを克服し、in vivoおよびin vitroの両方で抗腫瘍効果を高めることができることが示された。 上記研究と同様の手法を用いて、新規薬剤 KRAS G12D阻害剤(MRTX1133)の耐性メカニズム、併用効果を示す薬剤のスクリーニングも行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KRAS G12CとMEKとEGFRを同時に阻害することで、KRASG12C阻害に対する耐性シグナルを克服し、in vivoおよびin vitroの両方で抗腫瘍効果を高めることができることを証明し、投稿中である。 また、G12D阻害剤についても、同様の効果を証明することができ、データー収集、解析を行い、論文作成を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により、G12C阻害剤に関する論文は作成済であり、現在投稿中である。また、G12D阻害剤の論文のデータ収集もほぼ終わっており、統計解析、論文執筆を早めに行い、投稿準備を進めている。 今後、リバイスに対する追加実験を早めに行うこと、変異KRASシグナルに関する新たな研究計画を立て研究推進したいと考えている。
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