研究課題/領域番号 |
22K15596
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鄭 齢 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70833565)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 扁平上皮癌 / HIF-1α / THG-1 / TSC22D4 / HIF-1a |
研究開始時の研究の概要 |
食道扁平上皮癌はアジアで食道悪性腫瘍の主な組織型で、手術後の再発や、リンパ節転移、隣接器官への浸潤が起こりやすいため、予後不良の悪性腫瘍である。転移を伴う進行がんの治療成績の向上及び予後の劇的な改善のために、申請者は食道扁平上皮癌において高発現する新規がん遺伝子THG-1の分子機能、及び臨床的な意義について明らかにし、そのリン酸化および結合タンパクを標的にした分子腫瘍マーカーの開発、及びタンパク質間相互作用阻害剤の同定によるがん早期診断及び治療への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
1.THG-1の点突然変異体を作成し、プロリルヒドロキシラーゼとの結合に影響を与えるアミノ酸の同定を行なった。プロリルヒドロキシラーゼとの結合が弱くなるTHG-1-N末端の二つのアミノ酸を見出した。 2.結合が弱くなるTHG-1-N末端の二つのアミノ酸に点突然変異を入れたところ、HIF-1αタンパク質の蓄積がコントロールに比べて減少した。 この結果はTHG-1プロリルヒドロキシラーゼとの相互作用メカニズムにより、腫瘍形成の促進やがんの悪性化に寄与する可能性を示す。 3. 扁平上皮癌細胞を用いた実験ではTHG-1のノックダウンによりHIF-1αタンパク質の安定性が弱くなり、標的遺伝子の発現も低下した。標的遺伝子にはがんの進展に寄与している血管新生や糖代謝などに重要な遺伝子が含まれている。 THG-1がプロリルヒドロキシラーゼ阻害によるHIF-1α発現制御は、現在までに知られていない新規のHIF-1α誘導機構である。さらにTHG-1は食道扁平上皮癌で高発現するが、扁平上皮基底層以外の正常組織ではほとんど認められない。したがってTHG-1を標的にする治療法は副作用の少ない食道扁平上皮癌の分子標的治療法になる可能性が高いと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
THG-1-プロリルヒドロキシラーゼ結合に影響を与えるアミノ酸の同定を二つのアミノ酸に絞ったが、更なる分析が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
プロリルヒドロキシラーゼと結合できないTHG-1の変異体を用いて見出した結果は、THG-1を標的としたプロリルヒドロキシラーゼ-THG-1阻害剤が、プロリルヒドロキシラーゼによるHIF-1α抑制作用を回復させる可能性を示した。そのためタンパク質間相互作用を阻害する合成物の同定を検討する。
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