研究課題/領域番号 |
22K15598
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
田部 亜季 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 研究員 (60786367)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 成人T細胞白血病 / HTLV-1 / 抗体 / 抗体薬物複合体 / 成人T細胞白血病リンパ腫 |
研究開始時の研究の概要 |
ATLはHTLV-1の感染を原因とする難治性末梢性T細胞腫瘍である。その予後は極めて不良であり、有効な治療法の開発が望まれている。 またHIVでは、ウイルス蛋白質の結晶構造解析などの研究が行われ、逆転写酵素阻害剤をはじめとする抗ウイルス薬療法 (ART療法)が開発されてきたが、HTLV-1では創薬基盤となるウイルス蛋白の構造や機能は明らかになっていない部分が多い。本研究では、ATLに対する新規抗体薬物複合体の治療法開発と、将来的な阻害剤やその他の治療法開発の基盤とな るウイルス蛋白質の結晶構造解析と機能解析を行い、HTLV-1感染症とATLに対する新規治療法開発を目指した基盤研究を目的とする。
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研究実績の概要 |
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)はHTLV-1の長期潜伏感染を原因とする非常に予後不良な末梢性T細胞腫瘍である。非常に難治性の血液悪性腫瘍であるATLは、有効な治療法がなく、造血幹細胞移植は長期生存が得られる可能性を保つ治療法であるが、疾患年齢の発症中央値が65歳を超えているため、多くの高齢者は選択が難しい治療法となっている。異常を背景として本研究では、ATLの新規治療法開発を目指し、抗体を用いた治療薬の研究及び治療薬開発の基礎となるHTLV-1タンパク質の構造解析を目的としている。 共同研究者と共に先行研究で獲得したATLとHTLV-1感染細胞に発現する細胞表面抗原を標的とする抗体を用いて、蛍光色素を化学修飾し、共同研究者が作製したATL細胞株を移植したマウスモデルへの投与により抗体の体内動体や、標的細胞への集積などについて評価を行った。また細胞障害性薬剤を化学修飾した抗体をマウスへの投与を前提とする発現・精製、化学修飾のスケールで作製することに成功し、共同研究者と共にマウスモデルでの腫瘍細胞に対する細胞障害活性評価を行った。また本研究で用いているIgGから単鎖抗体化し、CD3抗体と融合させたBispecific抗体化などの免疫療法への応用にも着手している。HTLV-1蛋白質の構造解析については、現在所属する研究機関に移動後、蛋白質の発現と精製などの実験系の立ち上げにやや時間を要したが、結晶構造解析に向けたHTLV-1蛋白質の発現精製を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在所属する機関に異動後に蛋白質の発現精製に関わる実験機器や実験系のセットアップに時間を要したため、HTLV-1蛋白質の構造解析についてはまだ成果を得られていないが、抗体の体内動体評価や、抗体薬物複合体のマウスに移植したATL細胞株への有効性についての検討は概ね順調に進捗していた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はATL細胞株移植マウスでの抗体の体内動体や抗体薬物複合体の有効性と生物学的活性についてより詳細な評価を進めていく。さらに抗体に化学修飾する化合物の新たな選定や修飾リンカーの検討を試み、細胞レベルでの活性評価からマウスレベルへの検討へと進めていきたい。HTLV-1蛋白質の機能解析については、現在所属する研究機関に異動後当初は実験開始のセットアップに時間を要したが、発現・精製系の実験系構築が完了したためウイルス蛋白質の発現精製と結晶化を目指す。
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