研究課題/領域番号 |
22K15614
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小山 隆文 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (30828538)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | MDM2増幅 / 野生型TP53 / HPD / PDX / MDM2 / バイオマーカー / モデル化 / TP53 / 耐性機序 |
研究開始時の研究の概要 |
がん種横断的にMDM2増幅を有する固形がん症例を集積し、MDM2阻害剤の投与前後の生体検体(腫瘍組織および血液)を解析することで、MDM2がドライバー遺伝子となりえるかを検討する。得られた生体検体から細胞株、Patient-derived xenografts(PDX)などを樹立しモデル化を行い、難治性かつ希少フラクションであるMDM2増幅固形がんの薬剤開発および耐性機序の解明などといった臨床応用への発展基盤となることを目指す。
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研究実績の概要 |
国立がん研究センター・がんゲノム情報管理センターに2019年7月から2023年2月までに登録された45241例にのうち、MDM2増幅を示したものは1829例(4.0%)であり、そのうち野生型TP53であったものは1504例(3.3%)であった。MDM2増幅・野生型TP53を示したがん種のうち比較的頻度が高かったものとしては、肉腫363/2098例(17.4%)、尿路上皮がん69/724例(9.5%)、悪性黒色種34/313(10.9%)、胆道がん174/3974(4.4%)であった。2019年8月から2022年11月までの期間で国立がん研究センター中央病院においてがん遺伝子パネル検査を実施した症例は1440例であり、そのうちMDM2増幅・野生型TP53であったものは50例(3.4%)であった。肉腫22/151例(14.6%)、唾液腺がん3/23例(13%)胃がん2/21(9.5%)、悪性黒色種3/38(7.9%)、胆道がん5/92(5.4%)といったがん種では比較的頻度が高かった。日本全体での頻度と当院での頻度がは類似しており、当院でのデータが日本全体を代表できる可能性が示唆された。50例のう ち、30例で組織標本が院内に保存されていることを確認し、病理へ免疫染色やRNA-seqを実施するために組織の切り出し依頼を行っている。50例のうち13例が免疫チェックポイント阻害剤による治療をうけていたが、そのうち1例(7.7%)でHyper-progressive disease(HPD)を考える症例があった。我々のセンターにMDM2増幅・野生型TP53を有するPDXモデルが肺非小細胞がん、乳がん、胃がん、胆道がん、脳腫瘍などであるが、これらに加え、肺非小細胞肺がん、胆道がんな どで追加のPDXモデル、オルガノイドを作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行する内膜肉腫での研究でえられた新規のバイオマーカー、耐性機序を米国腫瘍学会2023年で発表予定した。この研究成果を本研究に寄与できる可能性が高い。2023年度で保存検体の解析(免疫、タンパク発現など))を実施する予定であったが、検体の同定、また院内での調整に時間を要した。耐性機序の可能性のある遺伝子異常を見いだしたが、PDXモデルを利用した研究を計画したが、予算が足りず断念した。研究の方向転換を行う必要があり、時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
公開データを利用し、スモールサイズのディープな解析を実施予定である。院内に組織が確認されている、TP53野生型でMDM2増幅例と非増幅例の各10例で、リンパ球浸潤などを評価する目的で多重染色などを、またRNA発現をみ るためにRNA-seqなどを予定している。これにより2つのグループを比較検討する。新規のバイオマーカー、耐性機序を同定を目指す。
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