研究課題/領域番号 |
22K15616
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 (2023) 静岡県立静岡がんセンター(研究所) (2022) |
研究代表者 |
今村 泰輔 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20870489)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 膵癌 / リキッドバイオプシー / ドライバー変異 / 術後補助療法 / バイオマーカー / TMB / 膵がん / 網羅的 / KRAS |
研究開始時の研究の概要 |
切除可能膵癌に対して、術前、術後の補助療法が標準治療となった。これにより、切除可能膵癌に対する周術期補助療法の治療選択においても腫瘍の遺伝子解析が不可欠となる蓋然性が高い。しかし、膵癌特有の腫瘍内の線維性間質の多さや不均一性といった問題が遺伝子変異診断を困難にしている。本研究では、非侵襲的診断として末梢血を用いたリキッドバイオプシーの概念のもと、膵癌のリアルタイムの癌特性把握に基づくテーラーメイド癌診療に資する血漿変異遺伝子検出法を確立し、新たな膵癌の診断・治療体系を構築することを目的とする。遺伝子変異に対する分子標的薬剤のコンパニオンマーカーに基づく個別化治療の基礎となり得る。
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研究実績の概要 |
さらなる膵癌治療成績の改善には周術期のバイオマーカー開発、それに基づく個別化治療の確立が不可欠である。本研究では、膵癌に対する周術期のリキッドバイオプシーバイオマーカーの探索を目的としている。術前保存血漿が得られた33症例において保存血漿からcell-free DNAを抽出し、401遺伝子を対象としたoncopanel sequenceを行なって包括的に遺伝子異常探索を行なった。 結果1, 予後予測: 33症例のうち、21症例でドライバー変異を検出しこれらをcirculating tumor DNA (ctDNA)陽性群とすると、有意にctDNA陽性群で早期再発が多く、独立して予後不良であることが明らかとなった。そして検出されたドライバー変異の数で予後が層別化できることも明らかとなった。 結果2, 標的治療のコンパニオンマーカー: 頻度は低いもののアクショナブル変異(KIT, PDGFRA, EGFR , ALK, IDH2など)も同定された。 結果3, 免疫療法のバイオマーカー: TMB(Tumor mutation bnurden)が免疫治療のバイオマーカーとして注目されている、組織で検出されるTMB(tTMB)と血液で検出されるTMB(bTMB)の相関を解析したところ今回は有意な相関を認めなかった。 結果4, 補助療法との関連: 術後補助療法の開始が遅れたか、あるいは受けなかった患者においてのみ、術前ctDNA陽性は不良なRFSと関連していた。術後補助療法の開始が遅れることで、ctDNA陽性症例が再発に至る猶予を与える可能性があることを示唆している。術前ctDNA陽性膵癌では、特に併存疾患や術後合併症を考慮した手術、および術前術後補助療法戦略が必要であることが示唆された。 以上の結果より、膵癌の周術期治療戦略の最適化にリキッドバイオプシーは有用であることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にあった経時的なサンプル収集(具体的には、術後サンプルや再発時のサンプル)が遅れている。一方で、その他の解析は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前向きにサンプル収集を開始するための手続きを完了した。外科のみならず内科とも連携をして、術前化学療法前のサンプル収集や化学療法中のサンプル収集を強化している。また、月一度の所属施設における研究推進会議において、他の専門家と協議しながら研究を推進していく。
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