研究課題/領域番号 |
22K15617
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 倉敷芸術科学大学 (2023) 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 (2022) |
研究代表者 |
三重 慧一郎 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 講師 (30791082)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害薬 / 免疫関連有害事象 / PD-1 / CD8陽性T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)は、顕著な抗腫瘍効果を示す一方で、治療効果が得られない症例が一定数いることが問題となっている。申請者は、担癌皮膚免疫関連有害事象(irAE)モデルマウスにおいて、抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果に個体差がある中で、その抗腫瘍効果とirAEの発症が連動することを示唆する結果を得た。このことから、遺伝的背景や抗原の種類、腫瘍微小環境に非依存的な全身性の免疫抑制機構が、ICIsの治療効果に影響していると推察された。本研究では、T細胞の免疫応答を全般的に抑制する鍵となる要因を多角的に探索することでICIsの抗腫瘍効果とirAE発症が連動する機序を解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
抗PD-1抗体をはじめとする免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)は顕著な抗腫瘍効果を示す一方で、同一腫瘍種においても治療効果が得られる症例と得られない症例がいることが問題となっている。申請者は、MC38細胞を接種した後に抗PD-L1抗体とオキサゾロンにより皮膚炎を誘発した独自の担癌皮膚免疫関連有害事象(irAE)モデルマウスにおいて、実臨床と同様にICIsの抗腫瘍効果とirAE発症が負の相関を示すことを明らかにした。この現象を引き起こす腫瘍の免疫抑制機序は、CD8陽性T細胞におけるTCRシグナル伝達を阻害するものではなく、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害するものであることが推測された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、実臨床におけるICIsの抗腫瘍効果とirAE発症が相関する現象を再現するモデルマウスの作製に成功し、その機序は腫瘍によるCD8陽性T細胞のPI3K/AKT/mTOR経路の阻害であることが示唆された。抗腫瘍効果とirAE発症はそれぞれ別の抗原を認識するCD8陽性エフェクターT細胞であること、および本研究で使用したマウスや株化腫瘍細胞の遺伝的背景は同一であることから、この機序は遺伝的背景や抗原の種類に影響されず、かつ腫瘍の微小環境にも非依存的な全身性の免疫抑制機序であると推測され、実臨床におけるICIsに対する腫瘍の耐性獲得機序の解明につながりうる知見であると考えられる
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