研究課題/領域番号 |
22K15623
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51010:基盤脳科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福間 良平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (20564884)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 非線形ダイナミクス / 皮質脳波 / DMD / Brain-Computer Interface / Electrocorticogram |
研究開始時の研究の概要 |
多数の計測点で観察された非線形ダイナミクスから事前知識なくモデルを構築する方法としてDynamic mode decomposition (DMD)が着目されている。実際、頭蓋内に留置された多数の電極で計測された頭蓋内脳波にDMDを適用し、その特徴を用いて脳情報解読を行う技術を我々は既に報告している。しかし、報告した手法では計算コストが高く、Brain-Computer Interface (BCI)など実時間で脳情報解読が必要な場合には適用できなかった。本研究では、この手法を改良し高速化を行い、実時間での脳情報解読を用いたBCIの実現を試みる。
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研究実績の概要 |
Dynamic mode decomposition (DMD)を用いることで、多数の計測点で観察された非線形ダイナミクスから事前知識なくモデルを構築することができる。我々の先行研究において、DMDを用いることで頭蓋内脳波から上肢運動内容を高精度で推定できることを示していたが、一方で推定に時間がかかる欠点があった。我々は数式変形を行うことで、トライアルごとに独立な特徴量を得ることで、計算時間を短縮し、正則化の適用を可能とした(特許申請中)。 本年度は新たに得られた脳波特徴量(DMD特徴量)の神経科学的性質を明らかにすることを試みた。まず、上肢運動時の頭蓋内脳波から得られたパワーとDMD特徴量を比較した。結果、DMD特徴量の一部はパワーと高い相関を示し、さらに同じ運動を行ったトライアル間でより高い再現性を示すことが明らかになった。即ちDMD特徴量の一部は再現性の高いパワーとしての挙動を示すことが分かった。他のタスクをデコードするにあたってもDMD特徴量がパワーよりも有効であることを示すために、我々の先行研究で用いた動画視聴覚中の皮質脳波に対しても同様の解析を行った。この結果、DMD特徴量を用いるとパワーを用いるよりも高い精度で動画の意味内容が推定可能であることが明らかになった。さらにDMD特徴量の一部は、上肢運動時タスクのように、再現性の高いパワーとしての挙動を示すことが明らかになった。また、予備的な解析でDMD特徴量が他のモダリティにも有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DMD特徴量がトライアル間で再現性の高いパワーとしての振る舞いをすることを示すことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
予備的な解析でDMD特徴量が他のモダリティにも有効であることが示唆されたため、MEGやfMRIといった他のモダリティからの脳情報解読を試み、DMD特徴量の神経科学的性質を詳しく調査していく。また、得られた結果を論文として報告する。
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