研究課題
若手研究
アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患患者の脳内ではアストログリオーシスが生じ、Monoamine Oxidase B(MAO-B)の増加が神経炎症を反映する。アルツハイマー病において、原因タンパクとされるタウ蛋白、アミロイドβ蛋白と神経炎症、神経変性の因果関係には未解明部分が非常に多く、治療薬開発の大きな障壁となってきた。本研究では健常者およびアルツハイマー病患者を対象に新規MAO-B PETトレーサー 18F-SMBT1を用いたPET studyを実施し、神経炎症の時間的・空間的分布と臨床症状との関連を明らかにし、神経変性の機序解明、そして治療標的の創出へ繋げることを目的とする。
本研究の目的は、健常者およびアルツハイマー病患者を対象にモノアミン酸化酵素(MAO-B) PETトレーサー18F-SMBT1を用いたPET studyを実施し、神経炎症の時間的・空間的分布と臨床症状との関連を明らかにし、神経変性の機序解明、そして治療標的の創出へ繋げることである。2023年度は本研究の前課題18K15357(2018-2022年度)「病理イメージングを用いたタウオパチーにおけるタウ-グリオーシス相互作用の解明」で実施したアルツハイマー病患者、軽度認知機能障害患者、健常高齢者のMRI、神経心理検査、11C-Pib PETおよび18F-SMBT1PETスキャンのフォローアップスキャンを実施した。またベースラインスキャン時の血液サンプルにつき、超高感度ELISA法(Simoa)を用い、タウ・NfLなどのアルツハイマー病・神経変性/炎症に関連する血液バイオマーカー測定を少数例でパイロットスタディとして実施した。現在18F-SMBT1の画像解析方法の最適化・最終確定を進めているが、暫定的な解析法では18F-SMBT1の集積値は健常者で低く、経時的には認知機能の低下と相関する結果が示されている。また血液バイオマーカー測定でも各バイオマーカーと疾患重症度との相関が示されており、今後は画像解析方法の確定の後の血液バイオマーカーの群間解析・PETトレーサーの集積値との相関解析を予定している。
2: おおむね順調に進展している
昨年は申請者の産休育休に伴い研究が中断されていたが、本年度は予定通りフォローアップスキャンおよび血液バイオマーカー測定を実施できている。
データ収集は完了しており、現在18F-SMBT1の画像解析方法の最適化・最終確定を進めている。2024年度は確定した解析法に基づいたPET集積値を元に、血液バイオマーカーの群間解析・PETトレーサーの集積値との相関解析を予定している。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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