研究課題/領域番号 |
22K15655
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
中村 善胤 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (30849617)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | αシヌクレイン / 細胞外分泌 / ABCトランスポーター / 分泌型オートファジー / α-シヌクレイン / 神経活動 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病の病態機序としてαシヌクレインが細胞間を伝播し脳内を拡大し神経毒性を発揮するという機序が考えられている。細胞間の伝播を遮断すればパーキンソン病の進行を抑えることができると考えられる。αシヌクレインの細胞外分泌は細胞間伝播を構成する重要なステップの一つであるが、最近、新たな細胞外分泌経路としてABCトランスポーターを同定した。ABCトランスポーターによるαシヌクレインの細胞外分泌を調節することで、αシヌクレインの細胞間伝播を抑制しパーキンソン病の進行を抑える効果が得られるか神経細胞やモデル動物を用いて解析する。
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研究実績の概要 |
本研究はABCトランスポーターによるαシヌクレイン細胞外分泌の制御因子を明らかにし、その機構を調節することでプリオン様伝播を抑制できるか解明することを目的として行っている。まず、αシヌクレイン細胞外分泌の大部分を担うとされる神経活動亢進がABCトランスポーターを介しているかどうかマウス大脳皮質初代神経細胞を用いて調べた。グルタミン酸刺激による神経活動亢進、カルシウムイオノフォアによる細胞内Ca濃度上昇はいずれもαシヌクレイン細胞外分泌を促進した。これらの促進効果は、ABCトランスポーター阻害薬であるプロベネシド、グリブライドで抑制された。神経活動亢進は細胞内小胞の分泌を促進するので、αシヌクレインの細胞外分泌を担うABCトランスポーターは細胞膜ではなく、細胞内小胞上に存在すると考えられた。また、MAO-B阻害薬であるセレギリンがSH-SY5Y細胞においてABCトランスポーターを介してαシヌクレインの細胞外分泌を促進することを既に示しているが、初代神経細胞においても同様の結果が得られた。セレギリンは非エクソソーム分画におけるαシヌクレイン分泌を増加させ、エクソソーム分画に影響を与えなかった。αシヌクレインがは非古典的経路で細胞外へ分泌されることが示されている。非古典的経路のうち非エクソソーム分画の多くを分泌型オートファジーが占める可能性が示唆されている。そのため、セレギリンはオートファジーに関連する細胞内小胞に存在するABCトランスポーターを介してαシヌクレインを細胞外へ分泌している可能性が考えられた。セレギリンはオートファジーフラックスを促進し、セレギリンによるαシヌクレイン細胞外分泌促進効果はATG5ノックダウンによって抑制されたことから、セレギリンは分泌型オートファジーを介してαシヌクレインを細胞外へ分泌する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ABCトランスポーターが分泌型オートファジーと関連していることを示唆する実験結果は得られているが、αシヌクレインのプリオン様伝播をin vitroやin vivoで評価する実験は進んでおらずやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内小胞上に存在することが確認されているABCトランスポーターのうちオートファジー関連の小胞にも関与し得るサブファミリーをsiRNAの手法を用いてノックダウンし、αシヌクレインの細胞外分泌に変化があるか調べる。また、マウス初代神経細胞にαシヌクレインのフィブリルを添加しαシヌクレインの凝集体を形成させ、そこにABCトランスポーターを介してαシヌクレインの細胞外分泌を促進する神経活動やセレギリンを加えることでαシヌクレインの凝集体形成が抑制されるか確認する。さらに、細胞外分泌されたαシヌクレインを別の神経細胞に添加し、取り込みや神経毒性の有無を明らかにする。
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