研究課題/領域番号 |
22K15657
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松尾 康平 福岡大学, 薬学部, 助教 (10802499)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | モルヒネ / モルヒノン / 親電子代謝物 / Nrf2 / HSF1 / CREB / 親電子性物質 / 耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
当研究室では、モルヒネの代謝経路として親電子性を有するモルヒノンを中間代謝物とする経路が生体内に存在することを初めて明らかにし、モルヒノンがモルヒネの鎮痛作用を低下させる等、モルヒノンが耐性発現に関与していることを強く示唆する結果を得ている。このことはモルヒノンが、モルヒネの鎮痛耐性形成の一因となっている可能性を示している。本研究では、モルヒネ代謝物モルヒノンに着目し、モルヒノンとオピオイド受容体との結合解析、モルヒノンによる遺伝子発現変動解析を行い、モルヒノンによる鎮痛耐性形成メカニズムの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
がんの鎮痛に使用されるモルヒネの反復投与による鎮痛耐性と副作用の問題に対し、我々はモルヒネ代謝物であるモルヒノンを同定し、その親電子性に注目し、以下の成果を得た。1. モルヒノンはKeap1を親電子修飾し、Nrf2経路を活性化、抗酸化や薬剤耐性に関与する遺伝子の発現を誘導した。2. HSP90を修飾し、HSF1経路を活性化、抗アポトーシスに関与する遺伝子の発現を促進した。3. Aktをリン酸化し、CREB経路を活性化、Bcl-2の発現を誘導した。これらの結果は、モルヒノンが酸化還元シグナル伝達を介して遺伝子発現を制御し、鎮痛耐性に関与する可能性を示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
モルヒネの代謝については、これまでの数多くの研究から、多くの代謝物が単離・同定され、代謝物の鎮痛活性や毒性についても評価されているが、未解明の部分も多い。本研究課題では、親電子性を有するモルヒノンを介した直接的または間接的なシグナル伝達経路を同定し、モルヒノンの新たな生理活性物質としての役割を明らかにすることに成功した。モルヒノンのように耐性・生体防御への関与が示唆されるモルヒネ代謝物は明らかにされておらず、モルヒノンが耐性形成を軽減する薬剤開発のターゲットとなることが期待できる。
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