研究課題/領域番号 |
22K15659
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
坂口 秀哉 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (30779153)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 神経オルガノイド / 海馬オルガノイド / カルシウムイメージング / 内側側頭葉てんかん / 海馬 / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんは、海馬硬化によって生じたてんかん原性による部分てんかんである。本研究では、ヒト多能性幹細胞から3次元での海馬組織の分化誘導(海馬オルガノイド)を基礎に、健常者由来および患者由来のヒト多能性幹細胞から海馬をそれぞれ3次元で分化誘導し、海馬硬化症の病理と機能異常によるてんかんの両方をカバーできるモデルを構築を達成することを目的とする。研究内容として、①健常者由来多能性幹細胞からの海馬組織の分化誘導条件の検討+疾患iPS細胞を用いた海馬硬化症の病態再現、②得られた海馬硬化症モデルからのてんかん原性獲得の計測・評価の2つのステップを実施する。
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研究成果の概要 |
本研究では、当初疾患モデリングを試みたが、その基盤検討の過程で海馬オルガノイドの分散培養における機能獲得とグリア細胞新生について検討できることがわかり、その点について中心的に評価する方向とした。 海馬オルガノイドの分散培養系でのライブイメージングでは、分散後3日くらいよりグリア細胞が産生されることが観察され、分散7日前後がグリア新生のピークであった。カルシウムイメージングで、分散後2週目ごろより散発的な自発発火を、分散後4週目ごろより部分的に同期を伴う自発発火を確認した。産生されたグリア細胞は、GFAPやS100βおよびvimentinといったアストロサイトのマーカーが陽性であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海馬オルガノイドによってヒト細胞由来の海馬組織を創ることが可能になったが、そこから得られる細胞の組成にグリア細胞が含まれていることはこれまで十分には示せていなかったが、本研究成果でその足場を固めることができた。神経組織は神経細胞とグリア細胞からなり、これまでグリア細胞の機能にはあまり注目が集まらなかったが、近年、ただの支持組織ではなく栄養の供給やシグナル伝達の仲介など、積極的な機能をグリア細胞が持つことが示唆されている。これをヒトのモデルで示すことができれば、ヒトグリア細胞における病態評価といった、これまでにできなかった疾患研究が可能となるため学術的・社会的意義は大きいと考える。
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