研究課題/領域番号 |
22K15668
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松野 雄一 九州大学, 大学病院, 助教 (60876522)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 青黛 / 潰瘍性大腸炎 / AhR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では青黛投与前後での粘膜組織検体を用いて、青黛がヒト大腸粘膜におけるサイトカイン産生や腸内細菌叢におよぼす影響を網羅的解析、16s rRNA菌叢解析により検討し、青黛の作用メカニズムに迫る。また青黛により腸管においてもAhRシグナルを介してNrf2の活性化がおこるのかを検証する。下記について検証する。 (1)青黛内服前後での消化管粘膜組織における炎症関連遺伝子発現の比較(2)青黛内服前後での細菌叢の比較(3)AhR発現が臨床効果に及ぼす影響の検討および青黛内服前後でのAhRの発現変化(4Caco-2細胞への青黛抽出物刺激によるNfr2の活性化
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研究実績の概要 |
本研究では、青黛の作用メカニズムに迫ることを目的としており、青黛がサイトカイン産生におよぼす影響を明らかとするため、当科で施行された「炎症性腸疾患を対象とした青黛の有効性・安全性に関する検討(UMIN 000022575)」で青黛内服による加療に良好に反応した潰瘍性大腸炎患者の青黛内服前後での消化管粘膜組織標本を用いてncounter systemを用いて網羅的なデジタルカウント遺伝子発現解析を行った。同様の解析を抗TNFα抗体製剤投与前後の消化管粘膜組織標本で行い、発現の変化について比較を行なった。青黛内服前後では有意な遺伝子変動として遺伝子9種(CYC1,MAPK3,AP1S1,CAPN1,TXN,PRDX2,GSTP1,NFKBIA,ITGAX)が絞られ、AHRやNRF2下流に存在すると考えられる抗酸化に関連した遺伝子群のmRNA発現が上昇しており、抗酸化遺伝子経路を活性化させることが明らかとなった。さらに青黛による治療機序について大腸癌細胞株CaCo-2を使用したvitroモデルにより検討したところ、脂質過酸化に関連したプログラム細胞死(フェロトーシス)を青黛はvitroモデルで抑制した。また治療前後で患者直腸粘膜検体におけるGPX4の免疫染色でフェロトーシス耐性に重要なGPX4が青黛投与により有意に上昇していることを確認した。同結果についてはJournal of Gastroenterology誌に報告した。 また青黛内服前後での腸内細菌叢の変化を検討した。青黛については腸内細菌叢を介しての効果が言われており、既報においては内服前後での腸内細菌叢の変化が報告されているが、今回の検討では有意な変化は認めなかった.同結果については青黛内服1年間の前向きなデータとともにIntestinal Research誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存試料からの解析である青黛前後での腸内細菌叢の検討については少数例ではあったが解析終了し、報告している。 青黛の作用機序として、抗酸化に関連した遺伝子群の関与が示され、脂質過酸化に関連したプログラム細胞死(フェロトーシス)を青黛はvitroモデルで抑制することを示し、報告している。 概ね予定通りに進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
一部の潰瘍性大腸炎患者は粘膜防御や細胞死の抑制といった機序による治療方法も有効であることが示唆されており、腸管上皮におけるフェロトーシスの抑制が潰瘍性大腸炎における治療ターゲットとなるか検証していく必要がある。
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