研究課題
若手研究
COVID-19患者の数%は重症化し致死的な経過を辿り、ワクチン接種後の感染例でも重症化の報告がある。大量の感染者の中から重症化する症例を予測し、適切な治療を実施するための重症化識別マーカーを確立することは、治療・予防法の開発と共に喫緊の課題である。本研究では重症化に伴う特定の免疫応答を明らかにし、重症化に先行して変化する免疫細胞/サイトカイン(=重症化予測マーカー)を同定する。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) は世界的な流行を引き起こし、ワクチン接種で得られた抗体からの逃避能力を獲得した感染力の強い変異株の流行が拡大している。COVID-19患者の数%は重症化し致死的な経過を辿り、ワクチン接種後の感染例でも重症化の報告がある。このような状況において、大量の感染者の中から重症化する症例を予測し、適切な治療を実施するための重症化識別マーカーを確立することは、治療・予防法の開発と共に喫緊の課題である。そこで、本研究ではこれらの発見に立脚し、重症化に伴う特定の免疫応答を明らかにし、重症化に先行して変化する免疫細胞/サイトカイン(=重症化予測マーカー)を同定する。当該年度の研究では、SARS-CoV-2に感染した患者から回収した末梢血単核細胞を用いて single cell RNA-seq解析を行った。また、SARS-CoV-2に感染した患者やワクチンを2回接種した医療従事者から採取した血清を用いて、中和抗体活性、抗S蛋白抗体:IgG, IgM、抗N蛋白体:IgG, IgMについて測定し、臨床情報と合わせて評価した。
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究では、SARS-CoV-2に感染した患者6名分の末梢血単核細胞を用いてsingle cell RNA-seq解析を実施した。ワクチン接種前の患者の内、致命的な経過を辿った患者と回復した患者の2グループに分け、T細胞受容体とB細胞受容体の免疫反応を解析した。それぞれの受容体の多様性と患者の回復の指標となる予後マーカーを探索している。また、SARS-CoV-2に感染した患者やワクチンを2回接種した医療従事者から採取した血清を用いた抗体検査を実施し抗S IgG抗体価が中和能を反映しているか評価した。
今後の研究では、single cell RNA-seq解析を進め、シングルセルレベルで免疫細胞クラスターの増減を検出し、受容体の多様性と患者の回復の指標となるマーカーを同定する。SARS-CoV-2抗体検査に関しても引き続き解析を続ける。
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