研究課題/領域番号 |
22K15685
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 大 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90836032)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 膵脂肪 / 脂肪膵 / 膵脂肪沈着 / 膵体積 / 糖尿病 / 膵臓癌 / 膵癌 / 肝脂肪 / 筋脂肪 / 内臓脂肪 / 脂肪分布 / 異所性脂肪 / 脂肪筋 / 脂肪肝 |
研究開始時の研究の概要 |
膵臓への脂肪蓄積である脂肪膵は、遺伝的糖尿病リスクの高い集団や非肥満者で、インスリン分泌低下や糖尿病と関連する。しかし、どのような体内環境下で脂肪膵が糖尿病を惹起するのかは不明である。脂肪膵が糖尿病を中心とする生活習慣病の危険因子となる体内環境を、人種差も含めて明らかにすることを目的とする。 CT画像で測定した膵体積や膵・肝・筋肉・内臓脂肪のデータと、一般健診のデータを突合したケースコホート研究を行う。膵体積・膵脂肪と糖尿病の関連を解析する。さらに、膵・肝・筋肉・内臓脂肪の脂肪蓄積を機械学習でパターン化し、糖尿病との関連を検討する。また欧州のMRIデータを用いて、異なる人種における検証も行う。
|
研究実績の概要 |
本研究は、どのような体内環境下で膵脂肪が糖尿病を中心とする生活習慣病の危険因子となるのかを人種差も含めて明らかにし、医療画像を用いた生活習慣病予防のための個別化医療に寄与することを目標としている。本年度、膵脂肪と糖尿病の関連が、膵体積によって変わるのかを人種差も含めて検討するために、日本における健診のCTデータと英国における前向きコホート研究UK BiobankのMRIデータをもとに解析を進めた。また糖尿病以外の生活習慣病として膵臓癌に着目し、膵脂肪が膵臓癌の危険因子となることを、UK Biobankと国際的な膵臓癌のコンソーシアムであるPanScan/PanC4のデータを用いて示し、米国膵臓学会で発表するとともに、英文誌に報告した。 膵脂肪と膵臓癌発症の関連を評価するために、UK Biobankのデータを用いて、MRIで膵脂肪量を測定された29,463人を解析対象とした。膵脂肪が平均値以上蓄積している群を高膵脂肪群、平均値未満の群を低膵脂肪群とした。約4.5年の観察期間で高膵脂肪群では0.28%、低膵脂肪群では0.07%が膵臓癌を発症し、観察開始時の膵脂肪蓄積は膵臓癌発症の増加と関連していた。さらにこの因果関係を検証するために、UK Biobank (25,617人)とPanScan/PanC4(膵臓癌8,275人、非膵臓癌6,723人)の遺伝的多型のサマリーデータを用いたメンデルのランダム化研究を行い、膵脂肪蓄積と膵臓癌の因果的関連を示した。 本研究結果は膵脂肪蓄積が膵臓癌の一因であることを示唆しており、膵脂肪の低減が膵臓癌のリスク低下に有効な可能性がある。膵臓癌の危険因子として膵脂肪蓄積を評価することの重要性を示した本研究結果は、医療画像を用いた生活習慣病予防のための個別化医療の基礎を与えるものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、膵脂肪と糖尿病の関連を、膵体積や人種差を考慮して解析を進めることができた。また膵脂肪が膵臓癌の危険因子となることを論文化できたことは、大きな進歩であったと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、膵体積や人種差を考慮した膵脂肪と糖尿病の関連について、解析を完了させ、学会発表や論文化を行う。
|