研究課題
若手研究
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人男性のみに発症する進行性の遺伝性神経筋疾患である。本研究課題では、in silico解析を活用してSBMAの骨格筋病態の解明を目指す。SBMA細胞モデルおよびマウスモデルを用いた既存の遺伝子発現解析の結果を利用して、骨格筋病態の改善が期待される候補薬をin silico解析により抽出し、SBMA細胞モデルやマウスモデルに投与して病態抑止効果を評価した上で、変化している分子シグナルに注目して骨格筋の分子病態を解明する。またパスウェイ解析ならびに薬剤データベースを用いて、候補薬の作用機序および他の組織への潜在的な効能について解析する。
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は進行性の遺伝性神経筋疾患である。本研究課題では、in silico解析を活用してSBMAの骨格筋病態の解明を目標とした。GEOで公開されている遺伝子発現解析情報とLibrary of Integrated Network-based Cellular Signatures(LINCS)データベースを用いて、SBMAの病態と負の相関を呈する遺伝子変化をもたらす薬剤およびその作用機序をそれぞれ抽出した。その中からSBMA病態を改善すると期待される薬剤を8つ選定しSBMA筋細胞モデルに投与し、SBMAモデル細胞のviabilityを改善させる薬剤を同定した。
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人男性のみに発症する進行性の遺伝性神経筋疾患である。約3割の患者は発症後20年で移動に車椅子が必要となり、呼吸筋の筋力低下により呼吸器感染症で死亡することが多い。現在リュープリン酢酸塩がSBMAの唯一の治療薬として日本で承認を受けているが、性ホルモン抑制や骨格筋の同化作用による副作用をみとめ、新規治療薬の開発が望まれている。本研究によりSBMAの病態理解が進み、新たな治療薬開発につながると考えられる。また治療薬開発のプロセスは他の疾患にも応用でき、SBMAのみならず多くの疾患の治療薬開発に結びつくことが期待される。
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