研究課題/領域番号 |
22K15706
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
蛭薙 智紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00927527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ポリグルタミン病 / 球脊髄性筋萎縮症 / 超早期病態 / シナプス関連遺伝子 / 核酸医薬 / 超早期治療 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリグルタミン病に対する核酸医薬開発が精力的に行われているが、治療を開始すべき時期や早期治療の有効性は明らかとなっていない。本研究では球脊髄性筋萎縮症のモデルマウスを用いて発達段階での超早期病態の解明を目指すとともに、アンチセンス核酸による超早期治療のエビデンスを確立することを目的とする。この研究によって、ポリグルタミン病や他の晩発性神経変性疾患に対する発達段階での治療可能性が示され、核酸医薬を用いた超早期治療法の開発につながることが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究により、球脊髄性筋萎縮症 (SBMA) モデルマウスの運動ニューロンでは、新生仔期より変異アンドロゲン受容体 (AR) の核内集積が生じ、また転写抑制因子Restにより調節されるシナプス関連遺伝子の発現上昇によるニューロンの過興奮がみられることが明らかとなった。またこれらの現象は変異ARがRestのアイソフォームを変化させることにより生じており、新生仔マウス脳室内に変異ARを減少させるアンチセンス核酸 (ASO)や、Restのスプライシングを制御するASOを投与することで、これらの転写障害が改善し、ニューロンの興奮が緩和され、疾患表現型が改善することを明らかとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、晩発性の疾患であるSBMAにおいても、新生仔期といった超早期に後の神経変性につながる運動ニューロンの過活動が生じていることを明らかとした点、および同時期のASOを用いた治療可能性を示した点で意義がある。また、発達段階における短期間の治療により、成人期以降の神経症状を緩和させるといった本研究で得られたproof of conceptは、SBMAなどのポリグルタミン病だけではなく、他の神経変性疾患にも応用可能であり、これまで根治的な治療法が開発されていない難治性神経疾患に対する、新たな治療戦略につながることが期待される。
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