研究課題/領域番号 |
22K15709
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
角田 渓太 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (20815500)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | α-シヌクレイン / パーキンソン病 / 髄液 / 凝集抑制因子 / 蛋白凝集 / 脳脊髄液 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病は最多の神経難病であり根本的治療は未だ実現には至っていない。申請者は髄液中にα-シヌクレインの凝集を抑制する生理的な因子が存在していることを見いだした。本研究は、この凝集抑制因子が何であるのかを同定し、生体内でα-シヌクレイン凝集に対して防御的な役割を果たしているかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では最多の神経難病であるパーキンソン病のα-シヌクレイン凝集の伝播を生理的な阻害因子の活性化により抑制することを目標としている。代表者は以前のパーキンソン病の髄液バイオマーカー研究を通して、髄液中にα-シヌクレインの凝集を抑制する生理的な因子が存在していることを見いだした。本研究では、この凝集抑制因子が何であるのかを同定し、生体内でα-シヌクレイン凝集に対して防御的な役割を果たしている機構の解明を目的としている。 凝集を阻害する髄液中の因子についての解析では蛋白レベルでαシヌクレイン蛋白をジルコニアビーズを含む溶液中で振盪し、チオフラビンTの蛍光強度によりリアルタイムに凝集体の形成を検出するRT-QuIC法を用いた。ここにサンプルとしてヒト髄液やその分画等を添加することで凝集抑制効果を確認することができた。髄液中の凝集抑制因子が分子サイズにより分離できることを確認し、その後に複数のパーキンソン病患者および対照群の髄液を限外濾過によりフラクショニングし、α-シヌクレイン凝集を阻害するフラクションを同定した。またこのフラクションから質量分析を実施し、凝集阻害因子の候補となるタンパク質の情報を得た。令和5年度には複数のパーキンソン病患者と対照群の患者の髄液を同条件でフラクショニングし、αシヌクレイン凝集阻害効果を有するフラクションの濃度が異なるかを解析したが、両群間で有意な差は得られなかった。質量分析で同定された凝集阻害効果を有する候補物質については引き続き解析を行う。また細胞実験レベルではα-シヌクレイン凝集伝播に生理的なリソソーム恒常性維持機構であるリソファジーが防御的に働いていることを見いだし令和5年度に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り複数患者の髄液をフラクショニングし、再現性を確認できた。また質量分析により候補タンパク質群を得ることができた。パーキンソン病患者群と対照群で髄液中の凝集阻害効果を有するフラクションの濃度の比較検討も実施した。
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今後の研究の推進方策 |
質量分析で同定された凝集阻害効果を有する候補物質については引き続き、それぞれの候補物質により凝集が抑制されるか、その物質の除去により髄液の凝集抑制効果がなくなるかの解析を継続する。細胞実験レベルで報告したα-シヌクレイン凝集伝播の抑制に働く恒常性維持機構であるリソファジーの機構解明も継続する予定である。またヒト髄液からリソファジーの障害の程度や恒常性維持機構の活性化の程度についても解析を行う予定である。
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