研究課題/領域番号 |
22K15711
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
西原 秀昭 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50780798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 多発性硬化症 / 血液脳関門 / iPS細胞 / 免疫細胞浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
近年多発性硬化症の疾患感受性遺伝子が内皮細胞に局在していると指摘されており,血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)構成内皮細胞は新規の治療標的を発見する興味深い候補である.ただし,患者BBBサンプルのアクセスが困難であるためにBBBの研究は進んでいない.本研究では,MS患者iPS細胞由来BBBモデルを使用することで,MS患者のBBBに遺伝的な異常が存在するかを明らかにし,BBB破綻の責任遺伝子を同定することを目的としている.BBB破綻の標的分子は,これまでの免疫細胞を標的とした治療とは全く異なる,BBB安定化をターゲットとした新規MS治療薬開発につながる.
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研究実績の概要 |
多発性硬化症(MS)では血液脳関門の破綻が病態に関わっているが,一般的には中枢神経内炎症の二次的結果と考えられている.本研究ではiPS細胞を用いてMS患者由来血液脳関門モデルを作製することで,BBB破綻が直接的に病態に関与する可能性を検討した. 本研究課題では日本人多発性硬化症患者5例から新たに各複数株のiPS細胞を樹立した.独自開発したBBB構成内皮細胞の分化誘導方法を用いて,健常人由来のBBBモデルと比較することで,MSでは炎症が存在しないin vitroの環境でBBBの重要な機能である小分子の透過性(易漏出性)が亢進している,すなわちBBBが漏れやすいことを見出した.また,MS患者由来BBBモデルでは免疫細胞の浸潤に関わる内皮細胞上の接着因子が高発現していることを示した.患者由来BBB構成内皮細胞のオミクス解析の結果から,小分子の透過性亢進,接着因子の高発現に関わる候補分子を同定した.候補分子に関しては,健常人由来株に阻害剤を用いることでMS様のBBB破綻が再現できることを確認した. さらには,症例数を増やして検討する中で,患者ごとにBBB破綻の程度が異なるという興味深い結果を得た.MSでの病型決定因子や重症度予測のバイオマーカーを開発することは,MS治療薬が複数使用可能となった現在の臨床現場で,個別化医療に向けて重要である.今後,臨床病型の異なるMS患者(benign MS,PPSM,SPMS)からBBBモデルを作製することで,「遺伝的なBBBの脆弱性がMSの病態進行に与える影響」の解析を行うために,国内外の施設と共同研究体制を構築した.
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